【重いからダメ、ではない】最新のM5に乗って考える『BMW M観』とは何か?

公開 : 2025.05.29 12:05

BMW Mとアルピナの立ち位置

そんなBMW Mモデルの来し方を振り返ってみれば、原初のM1を唯一の例外として、全てのモデルがBMWの生産車に倣ったハイパフォーマンスモデルであることがわかる。1本筋が通った精神性よりも、流行を取り入れることに重きを置くブランドなのだと解釈できるのだ。

だとすれば、現行M5のキャラクターも整合性が感じられてくる。重いからダメなのではなく、当然のように重くなった車重にどう対処するかのプロセスこそがこのクルアの存在意義なのだ。つまり最もダメなBMW Mの解釈は、筆者のように初期のM3あたりで止まってしまっているパターンだろう。

1972年に『BMWモータースポーツ』が誕生。BMW Mの歴史が始まり、今に繋がる。
1972年に『BMWモータースポーツ』が誕生。BMW Mの歴史が始まり、今に繋がる。    BMW

ここで興味深い存在は、BMW Mと肩を並べる存在のように扱われることが多いアルピナだろう。

BMWのプロダクションモデルをベースとするという点では、独自のボディパネルやエンジンを仕立てることが多いBMW Mモデルより忠実と言える。となれば時代が求める要件を全て取り入れていかなければならないはずだが、アルピナ・ブランドのイメージはそこに落ちていない。

BMW Mは絶えず記録を更新していくスポーツ選手のような存在であるのに対し、アルピナは自らが思い描いた枠に落とし込む職人のようなもの。だからこそフル電動すら許容するであろうMに対し、ブッフローエが考えるアルピナは終わりを迎え、BMWの一部として次の時代を迎えるのだ。

考えを整理すれば、現行のM5が山道で重たいことを突くのは正しくない。将来的に、その違和感に対する物理の法則を越えるような答えがあるに違いないのだから。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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