最も脂の乗った1960年代の佇まいを見事に再現!コーギーの復刻ミニカー【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第14回】

公開 : 2025.12.24 12:05

最盛期には年間1700万台以上を生産

世界中のミニカーファンの心をとらえたコーギー、その歴史について書かれた書籍『ザ・グレード・ブック・オブ・コーギー』によると、1960年代の最盛期には年間1700万台以上のミニカーが生産されたとのこと。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

しかし玩具の世界も盛者必衰。クルマそのものが憧れの対象から日常の当たり前となり、さらに1980年代になるとファミコンなど新世代の玩具が次々と生まれ、ミニカーマーケットは世界的に縮小。そして1984年、コーギーはその歴史に一旦は幕を下ろします。

1960年代の最盛期には年間1700万台以上のミニカーが生産されました。
1960年代の最盛期には年間1700万台以上のミニカーが生産されました。    長尾循

しかし、その名前が歴史の波間に消えることはありませんでした。経営母体が変わるなど、しばらくの間は紆余曲折がありましたが、ブランド自体は今なお健在。2008年からは英国の模型、玩具メーカー、ホーンビィ・グループ傘下となっており、1/43スケールをメインに自国のロードカーやコマーシャルビークルなどを最新の作風でリリースしています。

余談ですが、ホーンビィの傘下にはプラモデルのエアフィックスや模型塗料メーカーとして有名なハンブロール、スロットレーシングのスケーレクストリクスといった英国の老舗ブランド、さらにイタリアのポケールなど欧州の錚々たるホビー系ブランドが名を連ねており、往時を知るファンとしては心強い限り。

最近コーギーから続々とリリース

というわけで、今回ご紹介しているのが、ここ最近コーギーから続々とリリースされている復刻版ミニカーたち。1960年代半ばから後半にかけてデビューしたモデルが中心となっています。その数およそ40アイテム。今では懐かしい紙箱、イラストのパッケージも味わい深いですね。

実はいずれも当時の金型で作られたものではなく、最新のリバースエンジニアリングで復刻されたものです。コーギーの最も脂の乗った時代、ミニカーのヴィンテージ期ともいえる1960年代のモデルの佇まいが見事に再現されています。改めて手に取ってみると、今から半世紀以上も前にこれだけ新取の気風に満ちた製品を展開していたのかと、その完成度に改めて感服。

シャシーが脱着できるデ・トマソ・マングスタ。
シャシーが脱着できるデ・トマソ・マングスタ。    長尾循

ほぼ当時のままに復刻されたミニカーを見るにつけ、クリスマスのプレゼントに買ってもらったもの、友達が持っていたもの、親戚のお兄ちゃんの家で見たものなど、少年時代の様々な記憶もよみがえってきます。当時とは異なりいずれのモデルも生産数は少なめなので、気になるモデルがある方はお早めにミニカー専門店などへお問い合わせを。

取材協力:京商

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    長尾循

    Jun Nagao

    1962年生まれ。企画室ネコ時代を知る最後の世代としてモデル・カーズとカー・マガジンの編集に携わったのち定年退職。子供の頃からの夢「クルマと模型で遊んで暮らす人生」を目指し(既に実践中か?)今なおフリーランスとして仕事に追われる日々。1985年に買ったスーパーセブンにいまだに乗り続けている進歩のない人。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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