続・ニュールンベルク・トイフェアで配布される特別なミニカーたち【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第11回】
公開 : 2025.09.24 17:05
元モデル・カーズおよびカー・マガジン編集長である長尾循による、古今東西モデルカーに関する月イチのコラムです。第11回は前回に続き、毎年1月末~2月上旬に開催される『ニュールンベルク・トイフェア』で配布される特別なミニカーの話です。
世界60ヵ国以上から2000社以上が出展
実車のモーターショー同様、模型や玩具の分野でも世界的なショーや見本市が世界各国で開催されており、そこでは多くのミニカーメーカーがイベント開催記念モデルを用意して取引先や報道関係者に配布する……という話題は、前回ご紹介したとおりです。
今回も引き続き『Spielwarenmesse(シュピールヴァーレンメッセ)』、通称『ニュールンベルク・トイフェア』で過去に配布された出展記念限定ミニカーをいくつかご紹介してみたいと思います。

改めてこのショーを説明するならば、毎年世界60ヵ国以上から2000社以上の企業が出展し、世界120カ国以上から約6万人の来場者が集まるといわれる、世界最大級の玩具見本市です。古くから玩具産業が盛んだったドイツ南部の古都ニュールンベルクの市街地は、第二次世界大戦で壊滅的な被害を受けるのですが、そんな街の戦後復興の意味合いも込めて1950年から始まったのがこのトイフェアというわけであります。
TSMモデルでなければ作り得ない
まずは、『TSMモデル』の出展記念限定ミニカーをご紹介しましょう。
もともとは1/43や1/18スケールのミニカーと組み合わせて楽しむガレージの工具などアクセサリーのミニチュアから始まり、現在ではさまざまなスケールで古今東西の名車をリリースする同社のラインナップは、IMSAのマシンなど北米で人気の車種が多め。

毎年のショー記念ミニカーは基本的に専用のパッケージに入れられた1/43スケールで、マクラーレンMP4-12Cやベントレー・コンチネンタルGT3といった話題の現代車をベースにすることもあります。
しかし、デューセンバーグのSJロードスターや、ゼネラルモーターズが独自に開催したモーターショー『モトラマ』のキャラバンで使われた巨大なオリジナル搬送車両『フューチャライナー』などを用いたショー記念ミニカーは、TSMモデルでなければちょっと作り得ないモデルといえましょう。ちなみにTSMモデルのTMSとは、同社の旧ブランド名、『トゥルー・スケール・ミニチュア』の頭文字です。
1/43のスタンダード、イクソ・モデル
マカオに拠点を置く『プレミアム&コレクティブルトレーディング』(PCT)社の展開するいくつかのミニカーブランドの中で、最も有名と言えるのが『イクソ・モデル(IXO MODELS)』でしょう。
PCT社は自社製品のみならず、世界各国のミニカーのOEM生産なども手掛けるのですが、その基幹ブランドたるイクソの手堅い作風は、現代の1/43ダイキャストミニカーのスタンダードとも言える安定感。

イクソのラインナップは古今東西のラリーカーや歴代ル・マン参戦マシンの印象が強いのものの、実際には競技車両から市販スポーツカー、乗用車から商用車まで広いジャンルの車種を手がけています。
ですから、そんなイクソが用意するニュールンベルク・トイフェア出展記念限定ミニカーは、ミニ・ジョン・クーパー・ワークスWRC、レンジローバー・イヴォーク、ランボルギーニ・アヴェンタドールJなど、毎年バラエティに富んだラインナップ。
ボディのグラフィックにはお馴染みのイベントのロゴや開催年の西暦表記に加え、干支のグラフィックがあしらわれていたりします。これは中国圏、韓国、ベトナム、そしてもちろん日本の我々にとっても、なかなか興味深いポイントではないでしょうか。

























