この手があったか!キャデラック初のEV『リリック』は、ドイツ車勢ともレクサスとも違う世界観【日本版編集長コラム#66】

公開 : 2026.01.25 12:05

アメリカ人の基準で考えた上質さの演出

リリックの気に入ったところはそういった乗り味と、インテリアの世界観だ。そこには『アメリカ人の基準で考えた上質さの演出』があり、アメリカのラグジュアリーライフを垣間見ることができる。

正直に書けば、たまに操作ロジックが好みに合わないことがあり、ナビゲーションが装備されていないなど(アップル・カープレイは使用できるものの)、日本人的な細やかな視点で見ると気になることがいくつかあった。

そこには『アメリカ人の基準で考えた上質さの演出』がある。
そこには『アメリカ人の基準で考えた上質さの演出』がある。    平井大介

しかし、リリックにはそれらを覆い隠すデザイン性の高さ、上質さがあり、欧州車とは明らかに違う、キャデラックならではの世界観、個性があった。例えばセンターコンソールに手を近づけるとランプで手元を照らす機能を発見した時、何を大事にクルマを作っているか、そもそもの哲学が違うんだろうなぁと思ったのだ。

また、キャデラック初のEVではあるものの、EVならではの新しさを売りにするのではなく、そのメリットを活かしたうえで、キャデラックらしい新たなラグジュアリーカーを作っているような気がしてならない。

エンジン音のない静かな世界がしっかり高級感に繋がっており、静粛な室内でリリックと向かい合っていると『これならEVでもいい』、もっとストレートに書けば、『エンジンはなくてもいい』と思うようになってくる。

こうした考え方は、ボルボEX30アウディA6 eトロンあたりでも感じたことで、どうやらEVの世界は次のステージに入っているようだ。

価格は想像しているよりリーズナブル

価格は1100万円と、想像しているよりはリーズナブルだ。リリックの世界観を体感したあとでは、為替レートが厳しい昨今、もっと高い値付けでもいいように思ったほど。

ラゲッジスペースは793~1722Lと広大で、ボディサイズも乗り味も長距離に向いたリリックのキャラクターを考えると、もっとロングレンジのモデルがあってもいいように思う。SUVやミニバンが売れすぎている中で、他とは違う選択肢として、リリックはもっと注目されていい。

為替レートが厳しい昨今、価格はもっと高い値付けでもいいように思った。
為替レートが厳しい昨今、価格はもっと高い値付けでもいいように思った。    平井大介

ちょうど1年前に本国では『リリックV』と呼ばれるハイスペックモデルもデビューし、これも気になる存在だ。

ドイツ車でも、イタリア車でも、イギリス車でもない。そしてレクサスを筆頭とした日本車でもない。キャデラック・リリックは「この手があったか!」と思わず膝を叩く、新たな時代を感じさせる1台だった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。

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