この手があったか!キャデラック初のEV『リリック』は、ドイツ車勢ともレクサスとも違う世界観【日本版編集長コラム#66】

公開 : 2026.01.25 12:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第66回はキャデラック初のEV、『リリック』の話です。

シューティングブレークを思わせる

キャデラックリリック』に興味が沸いたのは、昨年10月に『キャデラック北大阪/シボレー北大阪リニューアル』のオープニングに出席した時。そのショールームに、クリスタルホワイト・トライコートのリリックが展示されていた。

メディア向け発表会をスケジュールの関係で欠席したので、実車を見たのはこれが初めて。そこで、まるでシューティングブレークを思わせる伸びやかなラインに感心し、これは一度乗ってみたい! と、数日間お借りすることになった次第だ。

キャデラック初のEV『リリック』に数日間試乗。
キャデラック初のEV『リリック』に数日間試乗。    山田真人

リリックはキャデラック初のEVとして、2021年4月にアメリカ本国でデビュー。2022年から販売を開始した。日本では昨年3月から、右ハンドルの『リリック・スポーツ』1グレードで発売されている。

ボディサイズは全長4995mm、全幅1985mm、全高1640mm、ホイールベース3085mmと、日本の路上ではなかなかの大きさだが、恐らくアメリカの路上ではちょうどいいサイズ。『電動ラグジュアリーSUV』を名乗るものの、全高はそれほど高くないので、床下のバッテリーがなければ、そのままシューティングブレークになりそうなプロポーションだ。

パワートレインは前後にモーターを1基ずつ搭載するAWDで、フロントが170kW/309Nm、リアが241kW/415Nmというスペック。車重は2650kgで、航続距離はWLTCモードで510kmとなっている。

取材車のボディカラーはアージェントシルバー・メタリックで、ショールームで見たホワイトとステラーブラック・メタリックを合わせた3色での展開。インテリアはオプションのフルレザー、『ジュニパーウィズスカイクールグレーアクセント』となっていた。

アメリカ車と欧州車の中間狙い

プレスリリースによれば、キャデラックとひと目でわかる縦長のLEDヘッドライトや1967年型『エルドラド』のオマージュとなるテールランプが特徴とのことだが、そう言われなくても、リリックはいかにもキャデラックと思わせる佇まいだ。

個人的にキャデラックは、新車当時かなり取材させて頂いた2代目CTSが印象深い。そこにはウォール街で活躍するビジネスマンが似合いそうな、いい意味でギラギラした大人の雰囲気があり、CTSを始め、ATS、STSなどで描かれたエッジの効いたデザインの延長にリリックもある。

床下にバッテリーを搭載し、前後に1基ずつモーターがあるAWDとなる。
床下にバッテリーを搭載し、前後に1基ずつモーターがあるAWDとなる。    ゼネラルモーターズ・ジャパン

また、CTSはアメリカ車ではあるものの、乗り味は足まわりがしっかりした欧州車のイメージもあり、キャデラックはアメリカ車と欧州車の中間を狙っていると感じていた。そして結論から書けば、リリックの狙いも変わっていないようだ。

アメリカ車と言えば、ふわっとした柔らかい乗り心地のイメージが強いが、リリックの出足もそういった感触はありつつ、そこからの力強い加速は引き締まった足まわりに支えられている。足まわり自体は重い車重に対応して硬めではあるものの、不快な感触ではない。

また、EVなのに加速感は大排気量自然吸気エンジンを思わせるから不思議だ。AWD特有のフロントで引っ張りつつリアから押し出す感触もしっかりとあり、スポーツモードではそれが顕著となる。

今回は都内から群馬県への往復ドライブでの試乗となったが、そんな感覚をよく味わえる高速の乗り味は素晴らしいものだった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。

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