新型『日産サクラ』で『BYDラッコ』を乗りに行く(後編) 中身も価格も十分な競争力の中国製か、現代の小さな高級車と呼べる日本製か

公開 : 2026.08.31 11:50

7月28日に発売され、8月10日時点で1000台の販売台数を記録した軽自動車乗用EV『BYDラッコ』。スーパーカー超王こと山崎元裕がその先駆者、『日産サクラ』で取材に向かいます。そこには大きな理由がありました。

加速に驚くほどのスムーズさを生み出す

機能とデザインが巧みに融合した『BYDラッコ』のキャビンに身を置いていると、やはりこのコンパクトなEVがどのような走りを披露するのかを知りたくなってくる。

ちなみにラッコに搭載されるエレクトリックモーターは、いずれのグレードでも共通の仕様で、その最高出力は47kW(約64ps)と軽自動車における自主規制値の上限を超えてはいないが、一方で最大トルクは160Nmを誇る。

富士スピードウェイ近辺で開催されたBYDラッコ(右)の試乗会に、日産サクラ(左)で参加。
富士スピードウェイ近辺で開催されたBYDラッコ(右)の試乗会に、日産サクラ(左)で参加。    佐藤亮太

試乗車の300プレミアムは35.84kWh分のリチウムイオンバッテリーを搭載し、その結果ウエイトは1230kgに達するものの、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から最大値が発揮されるトルクは、その加速に驚くほどのスムーズさを生み出してくれる。

バッテリー搭載量が22.40kWhとなるベースグレードの『200』ならばウエイトは1160kgにまで低下するので、さらにその印象は強くなるだろう。速度が高まるにつれて、ややパワーフィールの落ち込みが目立つようになるのはEVの宿命ともいうべきところだろうか。ドライブモードは、一般的なオンロードを走るのならば、やはりノーマルが最も自然なフィーリングで好ましく思えた。

さらにこのラッコの走りで驚かされたのは、その圧倒的な剛性感、そして巧みなシャシーセッティングが生み出した重厚な乗り心地、そしてコーナリングでの落ち着きのある動きだった。

高い剛性を実現するための技術的トライ

BYDのEV専用プラットフォームである『eプラットフォーム3.0』を核に、リチウムイオンバッテリーを車体構造の一部として組み込む『CTB』(セル・トゥ・ボディ)技術を採用するなど、高い剛性を実現するために多くの技術的なトライが試みられたラッコ。その成果は確実に走りの中に表れていたという印象だ。

他に多くの技術的なトピックスがあるラッコにおいて、ユーザーとしてやはり気になるのはEVとしての実用性、その象徴とも言える一充電あたりの航続可能距離ではないだろうか。

試乗車の『ラッコ300プレミアム』の航続距離は、カタログスペックで320kmとなる。
試乗車の『ラッコ300プレミアム』の航続距離は、カタログスペックで320kmとなる。    佐藤亮太

BYDから発表されたスペックによれば、試乗車の300プレミアムで掲げられた航続距離は320km。バッテリー容量が小さな200は210kmとされている。

充電性能は普通充電で最大6kW、急速充電では最大49kWを実現。さらに車外で電気製品を使用するV2Lにも対応しているとなれば、その使い勝手、そして実用性は限りなく大きなものとなる。

注目の価格は今回紹介した300プレミアムで249万7000円。各種安全装備の充実ぶりや、さらにCEV補助金の支給が受けられることを考えれば、これは十分な競争力が感じられる設定と言えるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王(超王)」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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