【年間約3000kmの発電量でEVが充電不要に】日産サクラ用電動スライド式ソーラーシステム『あおぞら・エクステンダー』開発中!

公開 : 2025.10.22 10:00

日産はジャパンモビリティショー2025に、軽乗用車EV『サクラ』の車載用電動スライド式ソーラーシステム『あおぞら・エクステンダー』を出展します。年間約3000kmの発電量があれば、充電不要となるユーザーが一定数いると見込みます。篠原政明のレポートです。

電動スライド式ソーラーシステム

日産自動車(以下、日産)は10月31日から開催されるジャパンモビリティショー2025(以下、JMS)に、軽乗用車EV『サクラ』の車載用電動スライド式ソーラーシステム、『あおぞら・エクステンダー(Ao-Solar Extender)』を搭載したプロトタイプを出展する。

なお、このクルマは展示台数とスペースの関係で、JMSの日産ブースではなく主催者プログラムの『トウキョウ・フューチャーツアー(Tokyo Future Tour)2025』のフューチャー・シティライフ(Future CITY LIFE)ゾーンに展示される。

電動スライド式ソーラーシステム『あおぞら・エクステンダー』を搭載したプロトタイプ。
電動スライド式ソーラーシステム『あおぞら・エクステンダー』を搭載したプロトタイプ。    平井大介

名前の『あおぞら(Ao-Solar)』は青空とソーラーパネル(太陽電池)から、『エクステンダー(Extender)』は英語の延長に由来する。

自宅でも充電が可能なEVのサクラだが、この『あおぞら・エクステンダー』を搭載すれば太陽光発電が可能となり、自動でEVのバッテリーに充電される。日産がサクラの利用方法を分析した結果、買い物や送迎など近距離利用が中心のユーザーが多く、年間約3000km相当の発電量があれば、外部からの充電がほぼ不要となるユーザーが一定数いると見込んでいる。

そこで開発された電動スライド式ソーラーシステムとなるあおぞら・エクステンダーは、走行中は車体の屋根に搭載されたメインパネルが最大約300Wの電力を生成。停車時には収納されていた可動パネルを前方にスライドしてソーラーパネルの表面積を拡張し、発電能力は合計500Wに達する。

災害時には小さな発電所や避難所に

プロトタイプのパネル幅は約1mで、インパネにセットされたスイッチを押すとふたつのモーターにより、収納されたパネルがスルスルと約1.1m伸びる。あおぞら・エクステンダーの装着で車両重量は約30kg増加し、全高は約4cm高くなっている。

サクラの姉妹車である三菱 eKクロスEVにはオプションでルーフレールが設定されており、これの耐荷重が30kgというところから、あおぞら・エクステンダーのシステム重量も30kgなら問題ないとされたそうだ。

あおぞら・エクステンダーにより太陽光発電が可能となり、自動でEVのバッテリーを充電。
あおぞら・エクステンダーにより太陽光発電が可能となり、自動でEVのバッテリーを充電。    平井大介

天候などの条件にもよるが、日産で年間の充電量のシミュレーションを行ったところ、通勤や買い物がメインで近距離しか走らないサクラのユーザーなら、ほとんど充電しなくてすむという。

また、停車時には展開したソーラーパネルがフロントガラスに照射する太陽光を遮断することで駐停車時の車室内の温度上昇を抑え、エアコンの消費電力の抑制につながる。ソーラーパネル格納時はサクラのデザインと調和するフォルムにより、空気抵抗を抑えるとともにソーラーパネルの存在を感じさせない自然な外観を実現した。

あおぞら・エクステンダーを搭載することで、自宅充電時の手間や充電費用の節約、容量不足によるブレーカー作動や充電忘れといったストレスが大幅に低減される。さらに太陽光で発電するため、災害時には小さな発電所としてはもちろん、夏場などはエアコンの効いた涼しい小さな避難所にもなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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