ライバルより「品が良すぎてインパクトが少ない」の声 新型『日産セレナ』がマイチェンのデザインで意識したこと キーワードは縦基調

公開 : 2026.09.05 11:45

日産セレナが昨年末にマイナーチェンジし、フロントまわりが一新されました。改めて担当デザイナーであるプロダクトデザイン部プログラム・デザイン・ダイレクターの入江慎一郎さんに、内田俊一がそのポイントなどを聞きました。

マイナーチェンジをどうするのか悩んだ

日産セレナが昨年末にマイナーチェンジし、フロントまわりが一新された。改めて担当デザイナーである日産自動車(以下日産)プロダクトデザイン部プログラム・デザイン・ダイレクターの入江慎一郎さんに、そのポイントなどを聞いた。

「6代目セレナのデザイン評価は良かったんです」と入江さんは明かす。

昨年末にマイナーチェンジした新型日産セレナのデザインスケッチ。
昨年末にマイナーチェンジした新型日産セレナのデザインスケッチ。    日産自動車

「女性がターゲットユーザーなのでそこに向けてデザイン開発したのですが、ニュートラルでジェンダーレスな感じだと、男性からも非常に評判が良かったんですね。特に日産が得意とする、インテリジェンスでハンサムルックみたいなところがうまく刺さっていました。ですから、正直、マイナーチェンジをどうするのか悩みました」

そこで考えたのはふたつ。ひとつは評判は良いものの競合車と比較して、「若干品が良すぎてインパクトが少ないという声」があったこと。もうひとつはデビューから3年少々経ちフレッシュさが欲しいということから、ヘッドランプを含めたフェイスリフトが行われた。

しかし、一般的なマイナーチェンジでヘッドランプまで変更することはあまりない。

「改良前はVモーショングリルの横バーのクロームがヘッドランプの中まで入っていましたので、ヘッドランプ込みですごく長いデジタルVモーションを表現していました。ですからヘッドランプの中のクロームを変えないとフロントフェイスを変えた時のデザインがつながらなくなってしまうんです。

ですが、クルマとすれ違う時の顔の一瞬の印象はインパクトがありますから、ここは変更感を出さないいけませんでした」

和モダンをもっと強めようというテーマ

そんなインパクトにつながるのは、縦基調になったことだ。

「今回テーマとして、和モダンをもっと強めようというのがありました。(マイナーチェンジ前も)和のテイストにモダンインプレッションを加えるというコンセプトだったのですが、さらに進化させるようにしています」

日産グローバルデザイン本部第二プロダクトデザイン部プログラム・デザイン・ダイレクターの入江慎一郎さん。
日産グローバルデザイン本部第二プロダクトデザイン部プログラム・デザイン・ダイレクターの入江慎一郎さん。    内田俊一

横基調から縦基調になったことについては、「日本は縦基調の文化ですし、格子のきちんとした縦のラインで構成し、かつ着物と同じような合わせで非対称にしたグリルを採用しています。それがロアグリルまでつながっているんです」と説明する。

実は違和感が出るのではと入江さんも心配していたが、「うまく品の良いまとまったアイデアが出たので、大きくダイレクションチェンジしました」。その一方で、縦基調ではないデザイン案もあった。

「もっとアーティスティックなものや、縦基調でもパターンをいくつか考えていました。例えば全ての面が違う方向を向いたり、光の移ろいによって見え方が全然違う幾何学模様も考えて、揺らぎみたいなものができないかと。それも日本っぽさですから。

しかし、まわりの面構成が割とジオメトリックで幾何学的なので、そことの相性はやはり縦桟にして、ジオメトリックなパターンを使いながらも、アシンメトリック、非対称にするという案が最終的に残りました。

よく見ると、左右でパターンだけでなく、一本一本の縦桟の断面も変えているんです。それも結構チャレンジでしたね」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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