35周年を迎えたロングセラーミニバン 新型『日産セレナ』の開発責任者に訊く「改良の理由」 ユーザーに向き合い、不満を徹底的に解消

公開 : 2026.08.29 11:45

日産セレナは今年で35周年を迎えるロングセラーミニバンです。6代目となる現行モデルは昨年末にマイチェンを受け、今年2月中旬から販売を開始しています。開発責任者の松井達彦さんを内田俊一が取材しました。

3世代続く『ビッグ』、『イージー』、『ファン』のコンセプト

日産セレナが昨年末にマイナーチェンジし、今年2月中旬より販売を開始。改めて変更ポイントやこだわりについて、開発責任者の松井達彦さんに話を伺った。

1991年に誕生したセレナは、今年で35周年を迎えるロングセラーミニバンだ。6代目となる現行は、3世代ほど続くコンセプト『ビッグ』、『イージー』、『ファン』を踏襲している。

日産セレナは今年で35周年を迎えるロングセラーミニバン。現行モデルは6代目となる。
日産セレナは今年で35周年を迎えるロングセラーミニバン。現行モデルは6代目となる。    日産自動車

ビッグは、クラストップレベルの室内空間やそれに伴う多彩なシートアレンジ。イージーは様々な先進的な機能、例えばプロパイロットパーキングや高く評価されているデュアルバックドアなど。そしてファンは、e-POWERとe-4ORCEが代表例となる。プロパイロット2.0がグレードによって採用されるのも見逃せない。

「それらによってクルマ酔いしにくいクルマなっています」と話すのは松井さん。今回の改良ではそういったコンセプトを踏まえつつ、ユーザーからの不満を解消すべくドライバーインターフェースを一新した。

まず、『見えルークス』でおなじみの3DAVM(3Dアラウンド・ビュー・モニター)を採用。後席モニターを10.6から15.6インチに拡大したほか、USBの電源ソケットをタイプCに統合。後席の置き忘れ防止機能を追加している。また、グーグルを搭載したことで利便性が向上、エアコンの操作も音声で可能になった。

もうひとつ、アクセルペダルを離したときの減速力を変えられるeペダルステップの変更も注目だ。これまではイグニッションをオフにすると解除されていたが「お客様から煩わしいという声があり」(松井さん)、1回押したらイグニッションオフにしても継続するようにした。なお、センタースクリーン上で都度解除できる設定にも切り替えられる。

「この良さを実感してもらいたい」

インテリアでは、効果が実感できないということでe-4ORCEのメーターコンテンツをアップデートされている。「実際の駆動トルク配分などを見える化することで視覚的に動いている状況を見てもらい、より一層この良さを実感してもらいたい」と松井さん。

また、冷感地ユーザーからの要望でVDCのオンオフを物理スイッチ化。これまではセンタースクリーン上でオンオフを行っていたが、「ぬかるみや雪道からの脱出ですぐに切り替えられるようにしたい」というユーザーの声を反映させた結果だ。

日産セレナの開発責任者を務める松井達彦さん。
日産セレナの開発責任者を務める松井達彦さん。    内田俊一

その点では、ドアミラーを畳んだ状態でもボディサイドを確認できる両サイドミラークローズドビューをセレナ独自で採用したことも同様。松井さんは「セレナ・クラスだとちょっと大きくて運転がしにくい、という方を少しでもサポートできる機能を入れたかったんです」と語る。

今回も踏襲したセレナの強みとして松井さんは、デュアルハッチドアとともにシートアレンジを挙げている。

「他社にはない2列目のセンターシートが前後スライドしますので、使いやすく、またシートアレンジも色々できますので、3人家族、4人家族、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒の家族など、それぞれに合わせてアレンジがすることができます」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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