しかしながら、レブ・レンジの前半で力強さを感じるのは340iが載せるストレート6の方。したがって日常域では、340iの方が速く感じられる。

340iのエンジンは、おそらくこのクルマのセリング・ポイントとなるはず。柔軟性に富み、なめらかに、そして軽やかに回るからだ。往年のストレート6の持ち味がそのまま引き継がれているともいえよう。

燃費も優れている。現代的なターボ技術は、スーパーチャージャーを使用するものよりも優れている。1日を通して燃費は10.6km/ℓを下回ることはなかったのに対して、XE Sは ‘良くて’ 10km/ℓを超えるという結果からも、それは明らかだ。

しかし覚醒するような音色を響かせてくれるのはジャガーの方。340iに比べると、目立ったパフォーマンスを行ってくれないのは認めるが、その反面ドラマティックな部分も多い。

スーパーチャージャーの呼吸がわずかに耳に届き、パワーの積み上げ方もうまい。エンジンの仕事っぷりだって肌感覚で伝わってくる。

優秀さでいえば340i。味わいは、XE Sの方だ。

第3章：峠道

今回選んだ山坂道は、ちょっとやそっとの腕じゃこなせないルートだ。2速のヘアピンに、外へ向かって傾斜のある連続コーナー。バンプや凹みをともなうチャレンジングな傾斜がつづく。

2台のうち一方は、コーナリング・バランスに長けていた。乗り味もなめらかで、ステア・フィールが速度に依存することもなかった。あらゆる面がスポーティにも感じた。

もう一方は、フロントが重く感じ、曲がりたがらない傾向があった。特に直進時は安定していたのだが、思い描くラインを正確にトレースすることも難しかった。