メルセデス-AMG C63 Sクーペ

公開 : 2015.11.11 23:55　　更新 : 2021.01.30 21:38

ノーマル・モードに固定したままコーナーに飛び込むと、グリップが限界を超えるころにわずかながらのアンダーステアが看取される。

そこでセーフティ・ネットを解除してみれば、気の赴くままにリアを振り回すことができる。それでいて限界を超えても、制御不能にならないのには感無量である。

コーナー出口では電制のディファレンシャルが優れた仕事をしてのける。リアが路面としっかりとコンタクトしている実感がある。

コンフォート・モードにおける乗り心地のよさも記しておくべきだろう。ちょっとやそっとのバンプでは、車体はビクともせずに飄々と走り抜ける。

ただしスポーツ・プラスでは要注意。急にハーシュネスが強くなる。大きな衝撃を受けると特に横方向の動きが我慢できなくなる。バウンドすることだって少なくない。

まぁこの硬さと繊細さが、限界付近のコーナーの能力の高さにつながっているのだが……。

とにもかくにも先代よりも遥かに高い動的性能を手にしたことは間違いない。それに、よりドライバーを元気づける仕立てにある。

コンフォート・モードの(この手のクルマからは想像できないほどの)穏やかさと、スポーツ・モードでの気前のよさは、発揮できる能力の幅広さを示していると捉えていいだろう。

■「買い」か?

先代の自然吸気のエンジンも忘れられないが、最新のターボもかなりいい。それどころか、少なくともC63 Sは先代よりもエキサイティングなクルマになっている。

オールドスクールなマッスルカーから、徹頭徹尾スポーツカーに生まれ変わっている。

2ドアというところもいい。街を走らせるだけでもアグレッシブに見えるし、空いた道を走っても存分に楽しめる。他を寄せつけない内装のクオリティと相まって、ライバルは慌てふためくことになるはずだ。

もしあなたがドライビングを愛するならば、‘ほしい物リスト’ のトップに加えていいだろう。

(グレッグ・ケーブル)