BMW 740i

公開 : 2015.11.21 23:50  更新 : 2021.10.11 08:58

したがってその乗り心地は、かつてのBMWのようにダンパーで抑えつけるフラットさではなく、いかにもエアサスペンションらしい“雲に乗ったような”系の快適さを提供する。

もちろんハンドリングはBMWらしく正確なものだし、その気になってダイナミックダンピングコントロールを「スポーツ」にセットすればワインディングを速いペースで駆けることもできるが、これはあまりそういう気を起こさせないクルマに僕には思えた。

■「買い」か?

740iのプライスは、標準仕様が1,217万円、M Sportが1,288万円で、様々なオプションを含んだ試乗車は前者が1,495.3万円、後者が1,491.9万円だった。

普段は快適至極で押し出しの効く仕事の足として使い、週末に郊外に出て空いたワインディングロードにでも遭遇したら大型のスポーツサルーンとしてドライビングをエンジョイするという用途が、このクルマから連想されるイメージではないかと思う。

もちろん新型7シリーズは、そういったイメージを裏切らない能力を持ったサルーンに仕上がっているが、今回の試乗ではスポーツサルーンとしての側面よりも、ラグジュアリーサルーンとしての側面を一段と明確に感じ取ることになった。

したがって、メルセデスでもアウディでもない、そしてレクサスでもないFセグメントの快適なサルーンを求める層にとっては、「買い」のクルマだろうと思われる。その一方で、旧来からのBMWの骨のある乗り味を求める層がこの新型7シリーズを「買い」と感じるかどうかという点は、ジャーナリストとしても個人的にも、ちょっと興味のあるところだ

(文・吉田 匠 撮影・佐藤正勝)

BMW 740i

価格 12,170,000円
燃費 12.2km/ℓ
CO2排出量
乾燥重量 1880kg
エンジン 直列6気筒2997ccターボ
最高出力 326ps/5500rpm
最大トルク 45.9kg-m/1380-5000rpm
ギアボックス 8速オートマティック


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記事に関わった人々

  • 吉田 匠

    Takumi Yoshida

    1947年生まれ。1971年、青学大卒業と同時に「CAR GRAPHIC」編集部に。スポーツカーの試乗記などを手掛け、FJ1600などのレースにも参戦、優勝経験数回。1985年、同社を退社、フリーランスのモータージャーナリストになる。「ポルシェ911全仕事」等、単行本多数。旧いスポーツカーに目がなく、愛車はポルシェ356B、ロータス・エランS2、他。

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