パフォーマンス・データは、もちろんポルシェのエンブレムを掲げるモデルだけのことはある。5.5秒と発表された0-100km/h加速は、それが2095kgものウエイトを持つことを考えれば相当に魅力的な数字であるし、最高速の270km/hもまた同様。その一方で満充電からの燃費はEU計測基準で3.1ℓ/100km、CO2排出量も71g/kmというから、E-Performanceコンセプトは、まさに理想的な結果を生み出したと評価してもよいだろう。

■どんな感じ?

パナメーラS E-ハイブリッドのドライブは、もちろんEパワーモードによるEV走行で始まる。一般的なカスタマーのライフスタイルを想像するのならば、夜間に自宅の電源から充電を行い、翌朝の出発時にはバッテリーは満充電の状態となっているはずだから、ここから最大航続距離の36kmは現実的ではないとしても、20kmほどはEV走行を楽しむことができそうだ。

Eパワーモードでの走りには、もちろんストレスを一切感じることはない。加速はスムーズの一語に尽きるし、当然のことながらキャビンは驚くほどの静寂に包まれる。ポルシェは2015年のフランクフルト・モーターショーで、EVスポーツ・コンセプトのミッションEを世界初公開、それに生産化の道が開かれたことを先日発表しているが、将来的にはこのポルシェによって演出された、高性能で快適なEV走行が、さらに長距離長時間にわたって、そしてもちろんより高速で楽しむことができるようになると考えるだけで、それに対しての期待度も大きく高まる。我々は今、自動車が最も飛躍的に、そして革新的に進化する時代を直視しているのだと、改めて認識させられる。

Eパワーモードでのドライブを続けていても、途中でさらなる加速を必要とした時には、アクセル・ペダルの動きはもちろんのこと、さまざまな走行状態を判断してエンジンが始動する。ちなみにエンジンが始動する直前のポイントでは、さらにアクセル・ペダルを踏み込むのかどうかを確認するかのような抵抗が感じられるから、不用意にエンジンを始動させてしまう可能性は低い。