2025年のマイベスト(1) プリウス:現代のシトロエンDS? パナメーラ:サルーンの最高峰

公開 : 2025.12.29 18:05

UK編集部5名が選ぶ、2025年のベストな1台 トヨタ・プリウス フォード・マスタング ポルシェ・パナメーラ ルノー5 E-テック モーガン・スーパースポーツ ベスト・オブ・ベストは?

2025年のマイベストな1台は?

待ちに待ったクリスマス。我が家では、カマンベールチーズとガーリックトーストをこんがり焼いて、ツリーを飾り付けることが、12月上旬のお決まりとなっている。

そしてAUTOCAR恒例なのが、クリスマスランチ。日々厳しい試乗テストにいそしむ仲間で集まり、1年を振り返りながら好き勝手に意見を交わす、穏やかなひと時だ。

AUTOCAR英国編集部員がそれぞれ持ち寄った5台。スティーブ・クロプリー編集長はブロンズのポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッドをセレクト
AUTOCAR英国編集部員がそれぞれ持ち寄った5台。スティーブ・クロプリー編集長はブロンズのポルシェパナメーラ・ターボS E-ハイブリッドをセレクト    マックス・エドレストン(Max Edleston)/ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

今年のテーマは、シンプルに2025年のマイベストな1台を決めること。日頃のネットワークを活かし、実際にそのクルマでランチ会場へ乗り付けてもらった。自分の熱い想いだけでは主観に終わるから、シメにベスト・オブ・ベストを選ぼうと思う。

現代のシトロエンDSと呼べる特色

クルマの豊作と呼べる1年だったが、まず触れたいのはトヨタプリウス・プラグイン。選んだのは、ジェームス・ディスデイルだ。「20年前では考えられません」。と彼は話すが、当時でも有能なパワートレインを載せつつ、安価なことが称賛を集めていた。

欧州では、タクシーの定番モデルなことには理由がある。並外れて信頼性が高く、燃費が良く、クルマとして完成度が高いから。ガソリンやレアメタルの重要性が増す中で、ハイブリッド技術の意味も拡大する一方にある。そして、運転が気持ちイイ。

レッドのトヨタ・プリウス・プラグインと、グリーンのルノー5 E-テック
レッドのトヨタ・プリウス・プラグインと、グリーンのルノー5 E-テック    マックス・エドレストン(Max Edleston)/ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

筆者、ヴィッキー・パロットも納得。グレートブリテン島南部、サセックス州の海岸沿いの道を流せば、予想以上の充足感に包まれる。「最盛期のサーブや、現代のシトロエンDSと呼べそうな特色を感じます。知的なクルマですよね」。ディスデイルが話す。

背徳感があってもマッスルカーは魅力的

そんなスマートな雰囲気とは相反するモデルを持ち込んだのは、イリヤ・バプラート。漆黒に塗られた、フォードマスタング・ダークホースだ。背徳感があっても、やはりマッスルカーは魅力的。しかも、MTが載っている。

「去年のベスト・ドライバーズカー選手権は、不当な評価に思えました。ATでしたから。でもMTのマスタングに乗ってみたら、本当に楽しい。今に反抗するようなクルマで、洗練度は高くありませんが、大好きです。少し自意識過剰になりますけどね」

フォード・マスタング・ダークホース(英国仕様)
フォード・マスタング・ダークホース(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)/ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

うれしそうに彼が説明する。V8エンジンの響きが、クリスマス気分も盛り上げる。

上級サルーンの最高峰 Sクラスに迫る魅力

最年長で編集長のスティーブ・クロプリーが持ち込んだのは、ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド。こちらもV8エンジンを積み、上品な重低音を響かせる。「道徳に反しないV8に乗れる、限られたチャンスです」。彼が話す。

「今朝、ここまで運転しましたが、電気だけで65kmくらい走れて、240kmの平均燃費は15.9km/Lですよ。それで、アクセルを踏み込めば素晴らしい響きを楽しめる。後輪操舵でワインディングを軽快に巡れて、エアサスは快適で、製造品質も高いですよね」

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)/ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

「上級サルーンの最高峰。プラグイン・ハイブリッドは、エンジンとモーターの長所を掛け合わせたといわれますが、実際そうです。理にかなっています」

筆者も同感。日常的な体験ではメルセデス・ベンツSクラスに迫る魅力がある。望めば、スポーツカーのように操れる。マッサージシートも心地良い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    2006年より自動車ジャーナリストとして活躍している。AUTOCARを含む複数の自動車専門誌で編集者を歴任した後、フリーランスとして活動を開始し、多くの媒体で執筆を続けている。得意分野はEV、ハイブリッド、お菓子。2020年からは欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務める。1992年式のメルセデス・ベンツ300SL 24Vの誇り高きオーナーでもある。これまで運転した中で最高のクルマは、2008年のフォード・フィエスタSTとアルピーヌA110。どちらも別格だ。
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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