ポルシェ・パナメーラS E-ハイブリッド

公開 : 2015.12.29 22:40  更新 : 2021.10.11 09:10

エレクトリック・モーターとエンジンの協調による走行モードに入ると、パナメーラS E-ハイブリッドの走りは一気にスポーティな印象を強める。もちろんこの状態でも条件を満たせばエンジンは自動的に停止するが、さらにスポーツモードを選ぶと、エンジンは常にパワーを発揮し続け、また組み合わされる8速ATも積極的に高速域を活用する制御へと明確に変わる。重量増という点では若干のハンデを背負うのは否定できないが、その直接の理由となるバッテリーを可能なかぎり低い位置に搭載していることもあり、コーナリング時の安定感には大きな不満を感じることはなかった。スポーツ・サルーンとしてのさらなる軽快感を求めたいのならば、パナメーラ・シリーズにはほかにも多くの選択肢があるが、個人的にはS E-ハイブリッドの走りは、優れたバランス感覚が感じられた。ポルシェはなぜこのモデルに、Sの称号を与えているのか。その意味も実際にワインディングでのダイナミックな走りを体験してみれば、誰もが簡単に理解できるはずだ。エンジンとエレクトリック・モーターの連携、あるいはフットブレーキと回生ブレーキの協調といった、ハイブリッド車の味付けの難しさに対しても、ポルシェは実に見事な解答を導き出している。

ワインディングでの走りを楽しんだ後は、Eチャージモードを使用したバッテリーの充電を試してみた。もちろんそれによって走りの魅力が損なわれることは一切ないし、カスタマーはこのEチャージとEパワーの両モードをどのようなタイミングで使い分けるのかを、ライフスタイルの中で楽しむことになるだろう。もちろん将来的には、ナビゲーション・システムとのさらに高度な連携によって、最も効率的な両モードの使い分けを自動的に行うことも可能になるだろう。ポルシェのプラグインハイブリッドには、まだまだ進化の可能性があるのだ。

■「買い」か?

プラグイン・ハイブリッドのシステムを得たことによるハンデを、ほとんど感じることがないのが、このモデルの素晴らしさだ。日本市場でのプライスは、ガソリン・エンジン・モデルならば、パナメーラSとほぼイコール。購入後のエネルギー・コストを考えれば、S E-ハイブリッドの魅力は相当に大きいと考えるべきだろう。

(文・山崎元裕 写真・佐藤正勝)


ポルシェ・パナメーラS E-ハイブリッド

価格 14,980,000円
全長×全幅×全高 5015×1930×1420mm
ホイールベース 2920mm
乾燥重量 2095kg
パワーユニット V型6気筒スーパーチャージャー2994cc + モーター
最高出力 416ps
最大トルク 60.2kg-m
ギアボックス 8速ティプトロニック
サスペンション ダブル ウィッシュボーン / マルチリンク
ブレーキ 4輪ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ 245/50ZR18 / 275/45ZR18
燃費 12.3km/ℓ


▶ 長期使用報告 / ポルシェ・パナメーラS E-ハイブリッド 第1回
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記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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