マカンのキャビンは、F-ペースに比べると遥かにソリッド感が強く、素材の手触りはなめらか。それぞれのスイッチの配置もスマートだ。見た目は極めてプレーンだが、機能性は高い。ポルシェのキャビンそのものだ。

対するジャガーのキャビンはポルシェほど作りこまれていないにせよ、SUVのカスタマーが重視する、高級感はかなり強調されている。2台を分かつ部分だ。

また、同じように重要視されている、トランク・スペースや、後席用のドアのサイズ、後席のスペースもF-ペースの方が好ましい。マカンは後席への入り口がやや小さく、乗りこんだとしても、身長の高いパッセンジャーは足元と肩まわりがタイトだと感じるだろう。

キャビンの印象と走らせた感覚も共通している。つまり、マカンの方がタイトで軽やかなのだ。徹底的に山道の走行を繰り返すと、マカンの方がクイックに走る。

F-ペースに比べてマカンの最高出力は42ps、最大トルクは12.2kg-m劣っているが、マカンの方が柔軟に入力に対応している印象があり、アクセルを強く踏みこんだ際の前への飛びだし方にも勢いがある。

いずれのクルマも、V6ディーゼル特有のミド・レンジのトルクの大きさが、マスの大きさを物ともしないのは確かだが、アウディのエンジンをソースとするマカンのほうが、わずかにレスポンスがいい。

またジャガーのZF製8速トルク・コンバーターATに比べると、マカンのデュアル・クラッチ・オートマティックの方が素早い変速を行ってくれる。

高回転域の気持ちのよさはF-ペースの方に軍配があがるものの、マカンやF-ペースは上まで回すことよりも、中回転域のトルクが出やすい部分を常用することが多いため、あまり加点ポイントとはいえない。