ポルシェ・マカン 4S BMW X3 M50 アウディSQ5 DセグSUV 3台比較(2) プロセスが作る訴求力

公開 : 2025.11.21 18:10

迫るエンジン版マカンの生産終了 ダイレクトに身体へ伝わるモーターのパワー感 印象で際立つBMWの直6エンジン 安定感や洗練性で光るSQ5 ドイツ製DセグSUV 3台をUK編集部が比較

ダイレクトに身体へ伝わるパワー感

仮にパワートレインが多気筒エンジンなら、BMW X3 M50 xドライブやアウディSQ5 スポーツバックに対し、圧倒的な差でポルシェ・マカンは優位に立っていたはず。しかし、4S エレクトリックが積むのは2基の電気モーターだ。

運転体験は、従来と明らかに異なる。先代の特徴を受け継ごうとしているが、訴求力では届いていない。

手前からレッドのアウディSQ5 スポーツバックと、BMW X3 M50 xドライブ、グレーのポルシェ・マカン 4S エレクトリック
手前からレッドのアウディSQ5 スポーツバックと、BMW X3 M50 xドライブ、グレーのポルシェ・マカン 4S エレクトリック    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

電動パワートレインの長所は、間違いなく肯定できる。0-100km/h加速は4.1秒で、3台の最速。回転直後から即座に立ち上がる太いトルクで、実際以上に速く感じる。ダイレクトに身体へ伝わるパワー感が、興奮を誘う。反応も極めてリニアだ。

しかし、回転数に応じてパワーが増大していく、ターボエンジン並みの魅力まではない。擬似的な排気音を再生しても、物足りなさは拭えない。回生ブレーキのパドルがあれば、多少は隙間を埋めてくれそうだが。

印象で際立つBMWの直6エンジン

SQ5は、X3 M50へ僅かに勝る4.5秒で100km/hへ届くが、不思議と最も遅く感じられる。アウディの3.0L V6ターボは、BMWの3.0L直6ターボへ最高出力や最大トルクで届かないからだろう。洗練性と静寂性が重視され、低域ではサウンドも小さい。

それでも、エンジンを回そうという気にさせる特性ではある。高域では響きがクレッシェンドし、たくましさがほとばしる。

手前からグレーのポルシェ・マカン 4S エレクトリックと、レッドのBMW X3 M50 xドライブ
手前からグレーのポルシェ・マカン 4S エレクトリックと、レッドのBMW X3 M50 xドライブ    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

印象で際立つのは、やはりBMWの直6エンジン。日常的な回転域からトルクが太く、反応はダイレクト。高域へ向けてパワーは高まり、僅かに人工音が重なるものの、サウンドもリアル。明らかに、特別なパワートレインだ。

517psを秘めるマカンのパフォーマンスは、狙って撃つという、やや単調な印象。計画し、実行し、楽しむという、プロセスが薄い。

洗練性で光るSQ5 カーブでの安定感は秀抜

快適性と操縦性が先代と同等なら、X3 M50やSQ5に劣らぬ評価をマカンは得るはず。少なくとも、ボディが3台の中で1番小さく感じられることは、プラスに働く。ステアリングも、正確で滑らかだ。

ヘアピンカーブへ飛び込めば、ポルシェらしい敏捷性と落ち着きが顕になる。優れたシャシーバランスで、躍動的に駆け抜けられる。その代償として、乗り心地はハード。スタビライザーが、足場の単管パイプのよう、というのはいいすぎだとしても。

アウディSQ5 スポーツバック(英国仕様)
アウディSQ5 スポーツバック(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

アクティブ・スタビライザーはマカン 4Sには装備されず、横方向の剛性はやや強固すぎる。路面の傷んだ郊外の道では、ボディは落ち着きを保てない。試乗車が履く22インチ・タイヤもサイドウォールが薄く、ブッシュを通じて振動が伝播してくる。

洗練性で光るのは、SQ5。不整からしっかり隔離され、路面を問わずしなやか。敏捷性と引き換えに、カーブでの安定感は秀抜。それでも回頭性は鋭く、ドライバーの気持ちをしっかり惹きつける。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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