ベントレー・ミュルザンヌ・スピードの「スピード」はの本質とは?

公開 : 2017.03.01 12:10  更新 : 2017.05.29 19:02

■どんな感じ?

英国内での試乗は今回が初だが、パレードランに終わらせるつもりなど毛頭なく、いつも通り全開で攻めてみた。ベントレーの卓越したオーラを醸しだす源は、厳選されたレザーへ丹念に施されたステッチだけでなく、そのエンジンのポテンシャルにもあるからだ。

1750rpmから112.1kg-mものトルクを発生するとなればスタート・ダッシュはお手の物で、その気になれば驚異的な速さを見せる。

ただし、スロットルのレスポンスはソフトで、ペダルのストロークは長め。加えて3トン近い車重であることはお忘れなく。

楽しいかと問われれば、答えはイエスだ。V8の響きはロックンロールのような活気にあふれ、乱暴に加速すればタイヤがスズメのさえずりのような甲高い断続音を発する。圧倒的なトルクは、回転を上げずとも車体を押し流すように先へ先へと運ぶ。

もちろん、それに疲れたならコンフォート・モードを選べばよい。途端にこのベントレーは、洗練された高尚な存在へ変貌する。

それこそ、ミュルザンヌが他を圧倒する世界だ。加えて、新技術を用いたタイヤは、フェイスリフト以前のモデルより、車内のノイズを4dB減少させるという。

高速道路をゆったりと流していれば、エンジンとタイヤが発するノイズはほとんど耳に届かず、風切り音も意識されないほど小さい。ダッシュボードに果物カゴでも載っていれば、高級ホテルのスイートルームかと錯覚しそうだ。

どこまでもゆったりとした振る舞いは、このクルマをひたすら雄大なものに感じさせる。時間も忘れるほどリラックスしてしまい、このクルマで遅刻しても、相手を待たせておけばいいような気分にさえなる。

と、ここで話を戻そう。このクルマは、ドライバーを夢中にさせるようなハンドリングの持ち主なのだろうか、という疑問に、だ。

その答えを探るべく、ダイヤル・スイッチでスポーツ・モードを選んでみると、ちょっとばかり残念、というのが正直な感想だった。

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