フォルクスワーゲンの小さな革新 EV価格を引き下げる「ユニファイドセル」 高密度化と標準化でコスト削減へ
公開 : 2026.04.20 07:05
フォルクスワーゲンが新たに投入する「ユニファイドセル」設計は、EVの価格を大幅に引き下げるとされています。傘下ブランドの80%でバッテリー設計を標準化することで、安価な小型EVの実現と普及を目指しています。
小型EVシリーズから順次展開
業界内で一貫した「規格」の設定は、自動車の黎明期から続く悩みの種だ。各社は独自のやり方や考えを持っているため、互換性のないバリエーションが無数に存在してしまう。
EV充電規格を例に挙げると、タイプ1、タイプ2、チャデモ(CHAdeMO)、CCSなど、多岐にわたる。どの規格が主流になるかは、地域によって異なる。

フォルクスワーゲンはEVのバッテリーおよびバッテリーセル設計に関して、こうした問題を未然に防ごうとしている。以前にも取り上げたことのある同社の『ユニファイドセル(Unified Cell)』は、子会社PowerCoと共同で開発されたもので、昨年、量産可能な試作品が公開された。
フォルクスワーゲン・グループ傘下の複数ブランドで展開される小型EVシリーズ「エレクトリック・アーバンカー・ファミリー」に初搭載される予定である。AUTOCAR UK編集部は昨年12月、ファミリーの一員である『IDポロ』のプロトタイプを試乗した。最終的には、ユニファイドセルは傘下ブランドの80%で採用されるという。
ユニファイドセルは、セル設計における大きな飛躍と称され、セルが占める体積1Lあたり最大660Wh(0.66kWh)のエネルギー密度を実現。従来のセルの最高値から10%向上したという。これには主に、モジュールにセルを収納する中間工程を省いた「セル・トゥ・パック」方式が寄与している。
新世代のナトリウムイオンにも対応
エレクトリック・アーバンカー・ファミリーの各モデルで目標としているのは、使用する正極材にもよるが、航続距離450km、充電時間25分未満を実現することだ。
正極材は、LFP(リン酸鉄リチウム)やNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)など、さまざまな種類に対応できる。NMCは通常、LFPよりもエネルギー密度が高く、同じ重量・体積でより長い航続距離を実現する。

また、ナトリウムイオンにも対応していることも大きな特徴だ。EV向けのナトリウムイオンバッテリーは先月、中国の大手バッテリーメーカーCATLにより初めて量産が開始されたばかりだ。
ユニファイドセルは、単にメーカーの都合に合わせた規格ではない。標準化によりセルとバッテリーシステム全体で大規模なスケールメリットが生まれると、フォルクスワーゲンは期待している。
一般的に、バッテリーのコストはEV車両価格の約40%を占めている。ユニファイドセルの導入は価格引き下げにつながるため、特に小型EVの商業的成功には不可欠な要素となっている。
ナトリウムイオンの欠点は、リチウムイオンよりもエネルギー密度が低い点にあったが、開発が進むにつれて改善されつつある。原材料は安価で環境面での評価も高いため、ナトリウムイオンバッテリーはライフサイクル全体を通じてよりクリーンなカーボンフットプリントを実現する可能性がある。
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