テスタロッサへ迫った加速力 ベントレー・ターボR(2) 今こそ誘う共感 成功のバトンはアルナージへ
公開 : 2026.03.07 17:50
高性能なミュルザンヌへ見出された可能性 コーナリングは目を見張る水準 テスタロッサへ迫った加速 1980年代の雰囲気に満ちた姿 ベントレー復調を導いたリムジンをUK編集部が紐解く
もくじ
ー快適性が重視された15インチ・ホイール
ーブランドの復調を導いたターボR
ーテスタロッサへ迫ったターボRTの加速力
ーミニマリスティックな時代にこそ誘う共感
ーベントレー・ターボRとターボRT 2台のスペック
快適性が重視された15インチ・ホイール
ラグーン・ブルーが妖艶な、ベントレー・ターボRの履くアルミ・ホイールは15インチ。見た目より、快適性が重視されていた時代らしい。タイヤのサイドウォールは厚く、サスペンションのストロークは長く、優れた乗り心地を叶えている。
運転席へ座ると、ボンネットは長いが、ピラーは細く視界良好。優雅でありながら、骨太さも滲む。背もたれを倒しても、身長190cmの筆者の場合は天井が近い。

トランスミッションは、ゼネラル・モーターズ(GM)社製の3速オートマティック。ターボ・ハイドラマティック400と呼ばれたユニットは、反応が緩慢ながら、市街地を走らせるぶんには不満はない。セレクターは、ステアリングコラムから伸びる。
このATは、1990年に同じくGM由来の4L80-E型4速へ交代。シフトレバーもフロアマウントへ移動し、スポーティさが高められた。
ブランドの復調を導いたターボR
もう1台、ダーク・グリーンのターボRはモデル末期に当たる1997年式で、ロングホイールベースのRT。252台だけ作られた、貴重な生き残りといえる。アップデートを経て最高出力は405psへ上昇し、内装も豪華さが高められている。
ターボRはターボS、今回のターボRTへと進化を重ね、1998年に56台の限定仕様、426psのターボRTマリナーが登場。最大トルクは87.4kg-mへ引き上げられ、オーナーを満足させるスピードメーターが、後席側にも設定された。

1980年代が終わる頃には、ロールス・ロイスのクルー工場をラインオフするモデルの、半数以上をベントレーが占めていた。ターボRの登場が、ブランドの復調を導いた。
1990年代に入ると、世界的に景気は悪化。工場はリストラへ迫られたものの、ターボRの技術はビッグクーペのコンチネンタルRへ利用され、経営を支えることになった。
テスタロッサへ迫ったターボRTの加速力
ターボRTでは、センターコンソールがターボRと異なることへ気付く。レザーで階層状に仕切られず、全面にウォールナット・パネルが貼られている。精巧な手仕事は、時代を超越して感動を与えることを実感する。
市街地を忍ぶように走り、交通量の少ない郊外へ。6.75L V8ターボエンジンの全力を召喚する。334psを発揮する、ブルーのターボRも速いが、ターボRTはその上を行く。0-100km/h加速は5.8秒へ縮め、当時のフェラーリ・テスタロッサへ迫ったほど。

ステアリングは想像以上に重いが、レシオはクイックで、狭い裏道でも巨体を導きやすい。車高は僅かに落とされ、17インチ・ホイールが見た目だけでなく、身のこなしも引き締めている。それでも、凹凸だらけのロンドンのアスファルトを、滑らかにいなす。
ターボRシリーズは、1999年に生産を終了。その頃には、新車でもクラシックカー的な雰囲気を漂わせていたが、通常のホイールベース版は計5207台、ロングホイールベース版は2083台提供されている。そしてアルナージへ、世代を交代した。


























































































































