アメリカンな英国車たち(2) 4気筒で不振のスタンダード・ヴァンガード ルート66が似合うヴォグゾール・クレスタ

公開 : 2026.04.19 17:50

戦後のアメリカ車を真似た、1950年代末の華やかな英国製サルーン。ツートーン・ボディとホワイトウォール・タイヤが良く似合う、控えめなテールフィンの4台を、UK編集部がご紹介します。

販売不振に繋がった直列4気筒エンジン

ライト・ブルーとホワイトのツートーンに塗られたスタンダード・ヴァンガードは、1958年に発表されたフェイズIIIのフェイスリフト版、ヴィニャーレ。フェイズIは1948年の発売で、堅実的なサルーンという評価を短期間に構築した。

フェイズIIIは1955年に発表されるが、デザイナーのジョヴァンニ・ミケロッティ氏によってルーフラインが高められ、ガラスエリアは拡大。フロントグリルやテールライトも、リフレッシュされた。ドン・シマンスキー氏の、1961年式のように。

スタンダード・ヴァンガード・ヴィニャーレ(1958~1961年/英国仕様)
スタンダード・ヴァンガード・ヴィニャーレ(1958~1961年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

滑らかなボディが、女性には魅力的に映るとスタンダードは主張した。対して当時のAUTOCARは、180mm近い最低地上高と、賢明な15インチ・ホイールを評価した。

4速MTはコラムではなくフロアで、エンジンは2088ccの直列4気筒。スタンダードは、あえて6気筒を採用しなかったが、それが販売不振に繋がったといえる。モデル終了の3年前、1960年に直6エンジン版が追加されたものの、既にタイミングは逃していた。

タイムスリップしたような運転体験

シマンスキーが、ヴァンガード・ヴィニャーレを購入したのは2021年。「若かった頃に、オースチンA30のバンを下取りに出して、一度買い替えたんです。快適で、ロールス・ロイスのようだと思いましたよ。それは、事故で廃車になりましたが」

「幸いにも、数年前に同じモデルを入手できました。運転はタイムスリップしたかのよう。オーバードライブが便利で、現代の交通でも遅れる事はありません。ファーガソン・トラクターと殆ど同じの、スチール製4気筒エンジンは滅多に壊れませんよ」

スタンダード・ヴァンガード・ヴィニャーレ(1958~1961年/英国仕様)
スタンダード・ヴァンガード・ヴィニャーレ(1958~1961年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ベンチシートは、ツヤツヤのビニールレザー張り。半円状のスピードメーターが、フィフティーズしている。

スタンダード・ブランドは、惜しまれつつ、このサルーンで幕を閉じた。1963年に登場した後継モデル、2000はトライアンフ・ブランドで売られている。

ルート66を流れるビッグサルーンへ特に忠実

ヴォグゾールは、豊かさを求める顧客へ応えるべく、2.3L直6エンジンのクレスタ PAを1957年に発表した。英国人の消費欲を掻き立てるように、クロームメッキで飾って。

これ以前から、ヴォグゾールはアメリカ車のスタイリングへ大きな影響を受けていた。その中で、クレスタ PAはルート66を流れるビッグサルーンへ特に忠実だろう。テールフィンの下で灯る大きな楕円形のテールライトは、一度見れば忘れないはず。

ヴォグゾール・クレスタ PA(1957~1962年/英国仕様)
ヴォグゾール・クレスタ PA(1957~1962年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

リアピラーの三角窓で、運転しやすく安全性を高める全方向の視界を得られると、同社は主張した。ボディラインは、低く優雅で機能的だとも表現した。その正当性は別として、地方のロカビリー・バンド・メンバーへ響いたであろうことは、想像に難くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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