テールフィンは控えめに アメリカンな英国車たち(1) 豪華装備で訴えるフォード・ゾディアックとオースチンA105

公開 : 2026.04.19 17:45

戦後のアメリカ車を真似た、1950年代末の華やかな英国製サルーン。ツートーン・ボディとホワイトウォール・タイヤが良く似合う、控えめなテールフィンの4台を、UK編集部がご紹介します。

アメリカ車を真似た華やかな英国車

1950年代末の英国では、バイパス沿いに小洒落たドライブインがあった。女優に似たウェイトレスが、アメリカ英語を真似て話す客へ注文を取っていた。彼らが乗り付けたのは、アメリカ車を真似た華やかな英国車、ということが少なくなかった。

2026年の素敵なギルクス・ガレージ・カフェへ、そんな4台へ集まってもらった。戦後の暗い空気を、徐々に晴らしていった魅力的なサルーンたちだ。

ギルクス・ガレージ・カフェへ集った、4台のアメリカンな英国サルーン
ギルクス・ガレージ・カフェへ集った、4台のアメリカンな英国サルーン    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ホワイトのボンネットにペール・ブルーのルーフが映える、フォード・ゾディアック MkIIは1960年式で、マイク・ハートリー氏がオーナー。コンサルとゼファー、ゾディアックという、美しい3兄弟の「MkII」は、1956年に登場している。

量産車でありながら、「職人技を感じさせる細部へのコダワリ」を備えるという、売り文句で英国人へ訴求された。「フォードの最高傑作」だと、高らかに主張もされた。

3兄弟では最上級仕様のゾディアック

いかにもアメリカンなスタイリングは、コリン・ニール氏の仕事。控えめなテールフィンが伸び、1955年式フォード・フェアレーンへ似た雰囲気を漂わせる。当時のAUTOCARは、アメ車のような無駄な翼だと表現したが、英国流に解釈されてはいる。

ハートリーのクルマは、全高が約45mm低いローラインルーフ・ボディで、よりスタイリッシュ。2016年にレストア済みの状態で、航空機エンジニアから購入したそうだ。

フォード・ゾディアック MkII(1956~1962年/英国仕様)
フォード・ゾディアック MkII(1956~1962年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

「ゾディアックだと知らない人には、手頃だったゼファーと勘違いされます」。と彼が微笑む。エンジンは2.6Lの直列6気筒で、MkIIの3兄弟では最上級仕様だったのに。

フロントグリルやメッキトリム、シガーライターなどの上級装備で、ゾディアックとゼファーは差別化されていた。バックミラーの上部には、丸いアナログ時計も備わる。

加速すると動きが遅くなるワイパー

バキューム圧で動くワイパーは、3種で共通。「加速すると動きが鈍くなりますが、サイドバルブ・エンジンの古いフォードと違って、止まりません」。とハートリーは説明する。新時代を象徴するサルーンとしては、不思議なほど戦前の技術といえた。

「リアのダンパーを調整して以来、操縦性は見違えました。現在の交通環境では、完璧ではないですが。コラムシフトの変速は、急がない方が良いです。時々ですが、3速から2速へ落とす際、(一度クラッチペダルを戻す)ダブルクラッチを挟む必要があります」

フォード・ゾディアック MkII(1956~1962年/英国仕様)
フォード・ゾディアック MkII(1956~1962年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

前後のドラムブレーキは、ある程度活発に走る場合は、定期的に整備が必要らしい。フロントが標準でディスクになったのは、1961年式からだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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