V型12気筒エンジンを載せたM760Liは、AMG S65やアウディS8を差し置いて買うべきなのだろうか？　1000kmを走らせて、結論をだす。

■どんなクルマ?

史上最強の新型BMW xDriveの試乗の報告を、これからこのクルマを買おうと考えている人々がするであろう方法、つまり、フランスのムジェーブからアルプスを越えて、イギリスへ戻るというような、1000km超えの陸の旅にでておこなう。

さて、M760Liがどんな感じのクルマであったかを報告する前に、まずはこのクルマの成り立ちについておさらいをしておこう。

ご存知のとおりBMW M7というクルマは存在しない。しかし、このクルマはそれに限りなく近いクルマだ。とは言っても、MのDNAが本質的に織り込まれているのでなく、あくまでBMWらしい趣の「ニス」が塗られた7シリーズといった感じだ。

M760Liは、次世代のロールス・ロイス・ファントムにも搭載されるかもしれない、同ブランドのレイスと同じ6.6ℓツイン・ターボV型12気筒エンジンを搭載する。

レイスのそれよりデチューンされたとはいえ、スーパーカーに搭載しても遜色のない610ps／81.6kg-mを発揮する。しかも最大トルクは1500rpmという低回転から発生する。

また、4輪操舵、アクティブ・アンチ・ロールバー、アクティブ・エグゾースト、M部門によるチューンのエア・サスペンション、M760LiのためにセッティングされたxDrive 4輪駆動システム、青色に塗られた前後のMスポーツ・ブレーキなど、このクルマには考えうる全てが備わっている。