フェラーリ812スーパーファストに初試乗 F12 TdFの危うさ払拭 「最高のGT」と評価

公開 : 2017.06.27 19:50

■どんな感じ?

サウンドはいかに?

812はF12より遮音材を減らしたというが、エンジンをかけてみるとそれが信じられなかった。マラネロの面々は、サウンドの好ましい要素はそのままに、耳障りな部分を排除しようと望んだようだが、車内外での音量差もかなりのものだ。

キャビンにいると、V12の咆吼と破裂音は届くものの、実にスムーズで、剃刀のようにシャープな印象を受ける。これがドアを開けると、車外にはまるで大気を切り裂くような音が響き渡っているのだ。

エンジンのレスポンスは、まさにファビュラス! と快哉を挙げたくなる。ステアリングホイールに据え付けられたダイヤルの指すモードがウェットだろうがスポーツだろうが、トランスミッションがオートであろうが、エンジン回転を低く保っていようが、この上なく力強い。

ただし、そんな走り方をするのはもったいない。TdFよりスロットルのマッピングはややソフトだが、それはタングステンの方がカーボンより溶融しやすいというくらい高いレベルでの話だ。

あくまで私見だが、ここまで反応のいいエンジンは、現在の市販ユニットにはないのではないだろうか。ランボルギーニアヴェンタドールも鋭いレスポンスをみせるが、それと同等か、むしろこちらが上かもしれない。

つまり、812は理解の範疇を超えてショッキングで、かなり辛口だ。それでいて、洗練と熟成もまた感じられる。この、これまでで最もパワフルなフェラーリは、0-200km/hで7.9秒をマークしつつも、想像できるうちで最もスムーズなエンジンを搭載する。

フェラーリを買うのはエンジンを買うということで、ほかはおまけだ、などとよく言われる。これまではジョークだと聞き流していたが、このクルマに関してはそれに賛同を覚える部分もある。

とはいえ、シャシーもまたそれほど軽んじられるようなものではない。たぶん誰もが、ロードカーに800psなんて馬鹿げた無駄だと考えるだろう。200psのトヨタ86で十分楽しめるじゃないか、と。

しかし、走り出せばたちまちそんな考えはどこかに吹き飛んで、3速で8900rpmのレブリミッターを試したいような気分に囚われることだろう。

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