特別試乗 アバルト124ラリー 公道走れぬ2265万円、高い? 安い?

公開 : 2017.09.18 15:40

中身はまったくの別物

エンジンは170psと25.4kg-mから300psと61.4kg-mに強化され、リア駆動される車体重量はわずか1050kg。この出力はアルファ・ロメオ4Cに搭載される1800ccターボエンジンによるもので、素早く向きを変えるラリーカーにとって理想的な50:50の重量配分を作りだすために、1400ccの標準仕様より車両後方にマウントされている。

トランスミッションはパドルシフト付きのドグリング式シーケンシャルで、変速時に瞬間的にトルクを断絶させることでシンクロナイザーを省く一方、変速時にズシンと満足感のある感触がある。カーボンファイバー製の2対の大きなパドルで操作するのだが、始動時用にクラッチペダルも備わる。

ステアリングホイールはシフトインジケータやホーンだけでなく、ヘッドライトやワイパー、ウオッシャー、エンジンスタート、ローンチコントロールのスイッチまで、アバルトのほとんどの操作系を担っている。このステアリングホイールで最も興味をそそるのが、「ALB」と「TC」と表示されたふたつの小さなダイアルだ。

ひとつ目の「ALB」ダイアルには5つのポジションがあり、砂利や雪など低摩擦路面での応答性を図りながらスロットルのレスポンスを調整する一方で、攻め込めるターマックでは熱いアタックを可能とするものだ。

もうひとつのトラクションコントロール(TC)は、機械式リミテッドスリップデフと組み合わせてその効果を高めている。これにも5段階の設定があり、徐々に激しいドリフトアウトが可能となるほか、最後の1段階は完全にオフとなる。

コンサルヴォによれば、「制御のパラメータ自体はロードカーと大きな違いはないですよ」とのことだが「より素早く積極的に、経験豊富なドライバーによる操作が必要です」とのこと。

テールスライドも幅広いギアで可能。ヘアピンなどで回頭性が不足している際は、シート間にそびえる巨大なバーを引きハンドブレーキを効かせることができる。

クルマに乗り込む前にこのスペシャルステージについて記憶しなければならない。

おすすめ記事

 
最新試乗記

試乗記の人気画像