『昭和のキャブレター車』は標高2000m超の峠を越えられるか?【連載:遠藤イヅルのB11型日産サニーカリフォルニア再生&快適化計画 #21】
公開 : 2026.08.28 12:05
イラストレーター兼ライターの遠藤イヅルが、1985(昭和60)年式『日産サニーカリフォルニア』の『再生』と『快適化』をレポートする不定期連載。第21回は、標高2000mの高地国道をキャブレター車のサニーで走れるか試してみました。
脳裏によぎる33年前の記憶
こんにちは。イラストレーター兼ライターの遠藤イヅルです。所有中の1985(昭和60)年式『日産サニーカリフォルニア』の『再生』と『快適化』のレポート連載の第21回は、再生、快適化の話を少し外れて、標高2000mオーバーの道を走ってみたレポートをお送りします。
仕事やプライベートで東奔西走しているサニーカリフォルニアは、ひととおりの整備を終えていることもあって絶好調です。しかし、ちょっと気になることがありました。それは、燃料供給をキャブレターに頼るこのクルマで、『標高が高い道を無事に踏破できるのか』という疑問です。

国土の約3分の2を山地や丘陵地が占めるわが国では、一般車が通行できる標高1000m以上の道路は枚挙にいとまがありません。
国道最高地点として有名な国道292号の『渋峠』(標高2172m)、国道299号の『麦草峠』(2127m)、蓼科スカイラインの『大河原峠』(2093m)、川上牧丘林道の『大弛(おおだるみ)峠』(2360m)、富士山スカイラインの『富士宮口五合目』(2400m、ただしマイカー規制期間あり)など、2000m超の地点を抱える道路はいくつも存在しています。
さらに、現在は規制のために走行できませんが、以前は乗鞍岳の『畳平』(2716m!)まで自分のクルマで乗り入れることができました。
筆者は1993年、当時乗っていた『ルノー・サンク・バカラ』で、岐阜県側から畳平まで乗鞍スカイラインを登ったことがあるのですが、途中で全然加速しなくなり、這々の体で畳平に辿り着いたことがあります。
後続車にどんどん抜かれながら、『ゴールできるのかなあ』と焦った恐怖の記憶が脳裏をよぎるのです。
キャブレター車が高地に弱い理由
ちなみにこのサンクは、最高出力90ps を発生する1.7リッターSOHCエンジンを搭載。マニュアルトランスミッションということもあり、小さくて軽いサンクには充分以上の性能を持つ、速いクルマでした。それなのに高地で坂を登らなくなったのは、サンクが『キャブレター車』だったからです。
吸い込まれた空気と、その量に応じて一定量で供給される燃料を混ぜ、最適な比率(空燃比)の混合気を作り出すキャブレターでは、空気の密度が減少すると燃料が濃くなって完全燃焼ができず、パワーが出なくなります。

例えば標高2000mでは、密度が地表の約78%まで減ります(0.78気圧)。空気中における酸素の割合は標高に関係なく約21%で不変のため、燃焼に必要な酸素もその分減少します。参考までに、標高2700mでは約73%まで空気が薄くなります。
といいつつ、ウチのサニーに積まれている『E15S型』は電子制御キャブレター(ECC)を採用しています。簡単に言えば、電子制御により空燃比を制御できるキャブレターです。
そのため理論的には、電子制御燃料噴射(インジェクション)と同じように天候、気温、気圧の変化などの影響を受けず、安定した走行が可能なはず。しかし『キャブ車であることに変わりはないし……。高所を走るとどうなる?』という思いは消えませんでした。
しかも広大なネットの海を泳いでも、標高2000m+を走る電子制御キャブレター搭載車のエピソードはまったく見つからないのです。












