オールドスクール老モデラーも静観できず! 周回遅れで『楽プラ』のススメ【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第22回】
公開 : 2026.08.26 12:05
元モデル・カーズおよびカー・マガジン編集長である長尾循による、古今東西モデルカーに関する月イチのコラムです。第22回は、塗装&接着不要で人気となった『楽プラ』に、オールドスクール老モデラー=筆者が注目します。
多くの少年たちにとってプラモデル工作は通過儀礼
古くから『歌は世につれ世は歌につれ』などと申しますが、子供の遊びやホビーの世界もまた然りであります。例えばプラモデル。現代ほど遊びやホビーのコンテンツが多種多様でなかったアナログの時代、多くの少年たちにとってプラモデル工作は通過儀礼のようなものでした。
もともとは戦前のイギリスで生まれ、戦後高度成長期の日本で大きな発展を遂げたプラモデル。必要な部品が用意され、組み立て説明図に沿ってランナーから部品を切り取って接着剤で組みたてると、誰もが精密な飛行機や艦船、クルマが完成させられるプラモデルは、たちまち子供たちの人気者になりました。

中には『誰でも同じものが簡単に作れてしまうプラモデルには創造性のかけらもない』などと、新時代のホビーに対し否定的な見解を示す大人もいましたが、自分の感性に忠実な子どもたちにとってそんなお小言は馬耳東風。お小遣いを貯めては、模型屋さん、玩具屋さん、駄菓子屋さんにせっせと通い詰めたのです。
……という少年時代を過ごしてきた私ですが、今でも当時とほとんど変わらず、相変わらずプラモデルを楽しんでおります。周囲には公私共に同じような趣味の人間も多く、まぁ、それが当然のように思って過ごしてきたのですが、ふと考えてみれば小学校時代の同級生で、還暦過ぎていまだにプラモデル工作を楽しんでいる奴がいるかというと、あまり思い当たりません。
最新のプラモデルはちょっと高級すぎる
あれだけプラモデルが好きだった仲良しのY君ですら、歳を重ねるにつれすっかり模型の世界とは無縁になっちゃったですし。それが立派な大人になるということなのかどうかはわかりませんが、ともあれ昔から大好きだった遊びやホビーのジャンルがシュリンクしていくのは寂しい。
古くからのファンとしては、どんどん子供たちやプラモデル、ビギナーにもこの世界にやってきて欲しいと思うわけです。そんな視点から見直してみると、最新のプラモデルはちょっと高級すぎるかな、とも思う今日この頃。

これは趣味の世界あるあるだと思うのですが、ある趣味の分野が深化すればするほど、ビギナーや年少者にとっては参入するハードルは高くなりがちです。
例えばクルマのプラモデルにしても、最新のそれはめちゃくちゃリアルで高解像度。その設計に3Dデータや3Dスキャナーを活用して生み出されたキットたちは確かに非の打ちどころがなかったりしますが、でもなんだかあまりにスキがなさすぎて、ちょっと息苦しく思えたりすることもあります。
草野球を楽しみたいと思っていても、相手はプロ野球のチームしかいないぞ……みたいな。でもこれがモデルエンジニアリングの進歩ってヤツなんだろうと納得はして、個人的には20〜30年前にリリースされた設計年次の古い、ロングセラーのプラモデルを楽しむことが多かったわけです。













