レンジローバー似? 中国のSUV「長安CS55」試乗 実力、低からず

公開 : 2017.09.24 19:40

どんな感じ?

試乗 エンジニアリングに驚く

CS55は好ましく、運動性能的にも優れたソフトローダーだが、試乗した場のほとんどがこのメーカーのテストコースだったことはお断りしておかねばならない。

そこは、このクルマのシャシーを磨き上げるのに使われたホームグラウンドである。それを用心深く監督したのが、以前はフォードでハンドリングの指導者だったゴードン・クックだ。英国人である彼は、欧州と中国で販売されたフォード車を、過去数世代にわたって手掛けた。その中には、つい先ごろ退役した先代フィエスタなどが含まれる。

この試乗会で他社のジャーナリストが、60km/h程度でのレーンチェンジ・テストで転倒するアクシデントが発生したため、われわれの試乗は手加減しなければならなかった、という事情もある。事故を起こしたドライバーは、長安サイドのアドバイスを無視してESPを切っていたようだが、実際に何が原因だったのかはまだ特定されていない。

そうした緊急時を想定した状況ではともかく、もっと安定した状態では、このクルマのステアリングは正確に連続するカーブを抜け、俊敏に鼻先の向きを変える。ただし、それなりのロールは伴う。

ステアリングの重さは3段階に調整可能で、その幅は広く、最も重くなるモードがスポーツと呼ばれるが、中間セッティングが一番の折衷案ではないかと感じられた。

クックとブレーキ担当エンジニアのデイブ・コックスは、CS55のシャシーをフラットなコーナリングをするよう仕立てることを望んだ。しかし、中国の轍やくぼみの多い道路に対応するため、ホイールのトラベルとブッシュの追従性を織り込まなければならなかった。

コーナーに入ると、アンダーステアとロールが発生するが、優しくスロットルを戻せば、ラインをタイトにたどることができる。ハンドリング・コースでの高速走行では、ESPが穏やかに介入するが、これはスロットルを絞り、よりタイトなコーナーでは後輪ブレーキも駆使するものだ。

これはドライビングがエキサイティングなクルマではないが、勘のいいドライバーがそこそこ元気に走らせる素材としてはおもしろい。それでいて、もっとリラックスした運転には欠かせないしなやかさも確保されている。

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