スロットカー60年の進化 大人も楽しめる理由は スケーレックストリック社訪問

公開 : 2018.02.04 19:10


スケーレックストリック進化の60年

1957年のハロゲート国際トイ・フェアで発表された最初のスケーレックストリックはマセラティ250Fで、当時はミニモデルズ社のブランドだったが、その時からリアリズムへの追求は変わらない。

バートラム・“フレッド”・フランシスが47年に創業した同社は、52年にゼンマイ式自動車模型のスケーレックスを発表。それをより広く訴求していこうと模索した結果、行き着いたのが電気モーターの導入だった。

こうして生まれた新商品は、スケーレックスとエレクトリックを組み合わせた名称を与えられる。路面に電源を設けたサーキットコースを周回する、いわゆるスロットカーだ。

現在のボディはプラスティック製だが、それが導入される60年代初頭まではブリキ製。手元のターミナルボックスで行う操作は、オン/オフを切り替えるだけのシンプルなものだった。

58年には、トライ・アングを擁するラインズ・ブラザーズ社がミニモデルズを買収。時を同じくして、親指で操作するコントローラーが登場する。これによって電流を調整することで、スピードを制御できるようになった。

現在の主流はトリガー式となっているが、ブキャナン曰く、これには裏話があるのだとか。

「工場で、コントローラー内部のレジスターに巻かれた電線に、工業用オイルを数滴垂らしておくんですよ。トリガーを引き絞ると、金属のアームがレジスターの表面を撫でるように動きますが、この通電したときにオイルが焼けるんです」

その結果、実車のような気分を盛り上げてくれる、オイルの焦げた匂いが漂ってくるというわけだ。

コントローラー同様、モーターも進化を続けているが、それはもちろんスピードをアップさせるいっぽうで、クラッシュの機会も増やしてしまう。その対策としてグリップを高めるべく、まずは平滑なラバーを用いていたコースがディンプルの付いたプラスティックへと移行したが、路面への食い付きを十分なレベルに高めたのは、1988年に発表されたマグナトラクションだった。これは、車体底面に小さな磁石を組み込んだギミックである。

設計プロセスにも進歩が見られ、1990年代半ばには3次元CADソフトを導入。これにより、デザインから商品化までの期間は10カ月ほどにまで短縮された。

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