テスラ・モデルS シューティング・ブレーク製作の背景は クエスト社訪問

公開 : 2018.03.10 11:50

ディテールへの徹底したこだわり

ハインドマーシュは、イーロン・マスクのブランドを「大いに参考にさせてもらった」といい、クラッシャブル・ゾーンの構造や電気系統には一切手を付けていないと説明する。

よって、引き伸ばされたリアセクションの裏にはオリジナルのCピラーがそのまま残っているが、スモークの入ったリア・ガラスによって目隠しされている。これを取り囲むボディ・パネルはすべてカーボンファイバー製だ。

今後の製品に使う基本素材はこれでいこうと創設者3人の意見が一致した。軽くて強いからだ。モデルSの場合、表面積が大きくなったにも関わらず、これによって車重を12kg削減することができた。

「できるだけ多くの新素材を調達しました」とハインドマーシュは言う。「既製品であるピルキントンのリアガラスは別として、このクルマに使った多くの部材は、すべてこのために製作したものです。しかし、これらの新しいパーツはすべてEマーク(欧州の規格証明書)を取得したので、いつでもまた使うことができるんです」

インテリアに使われているノーフォークの地元メーカーのファブリックにしても、キャビンの他の部分とまったく同じような感じだ。オリジナルと新しいファブリックの境目も見当たらない。

このシューティング・ブレークの荷室は225cmまで広がり、リアのヘッド・ルームは7.6cm高くなり、オプションでテスラの最後尾シートを取り付ければ(子どもではなくて)荷室に大人ふたりが乗ることができる。

しかも、この改造をした後でもドライビング・フィールは損なわれていないのだ。室内の騒音も増えていないし、乗り心地やコーナリングも普通のモデルSと全く同じ。特徴的な風景がにじむような加速感もそのままである。

もちろん、ひとつ違いはある。価格だ。ユーザーが自分のクルマをシューティング・ブレークに改造する費用は7万ポンド(1043万円)程度になりそう。モデルS75Dの新車より高い。しかし30台限定なので、これは実用性と同時に希少性を買うということだ。これに見合うクルマは滅多にない。

関心のある顧客の数も増えている。クエスト・チームはもちろん楽観的だ。「これは他人と違うことを望むひとたち、未来を先取りしたいひとたちのためのクルマなのです」とハインドマーシュは言う。「このクルマをナイツブリッジのガレージやノーフォークの田舎道で見かける姿が目に浮かびますよ」

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