最高のエンジンを持つクルマたち 後編

公開 : 2018.07.01 06:10  更新 : 2019.05.04 13:03

BMW M5 (E60型)

生産:2005〜2010年 価格:1万2000〜3万ポンド(188〜420万円)

2000年代中盤、ドイツ製超高性能セダンは馬力競争たけなわだった。アウディとメルセデスに負けるわけにはいかないBMW Mは、セダン(やワゴン)に載るものとしてはきわめて異質のものとして後世に語りつがれるにちがいない、とんでもないエンジンを新しいM5にぶちこんできた。なんといってもその当時は「Mのターボ」など考えもおよばなかったから、BMWの高性能モデルはなによりもエンジン本体こそが命だった。

S85と名づけられた総アルミ製5.0ℓ自然吸気V10エンジンは、8250rpmまでまわる。そのささえとなるのが、ダブルVANOSと称する吸排気カムシャフトそれぞれに作動する可変バルブタイミングシステム、気筒ごとにおごられた全10個の電子制御スロットル、マーレ製の高性能ピストン、そしてBMWが「ほとんどドライサンプ」と形容する手のこんだ潤滑システムだ。エンジンブロックとヘッドは、当時のBMW F1用エンジンとおなじ工場で鋳造されていた。

その結果、514psと53.1kg-mという、10万ポンド(1440万円)クラスのスーパーカーでもないとお目にかかれないエンジンに仕上がった。E60型M5はいまや1万2000ポンド(94万円)からとそう高価ではなくなっている。ただ維持にはとんでもなくお金がかかるし、保証請求もひんぱんとのことだ。

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