VW I.D. Rパイクスピーク コースレコード樹立なぜできた? 背景とは

公開 : 2018.08.05 10:10

突然の進歩 コースが運命を握る

チームは、パイクスピーク・インターナショナル・レースウェイ近郊での試行錯誤を繰り返した。ライドハイト、ダウンフォース、ダンパー、ロールバーやキャンバーを調整し、常に変化するコース状況になんとか合わせようとしたのだ。

本コースのショートセクションを使って行われる予選と練習走行を行う段階になっても、依然として満足する結果は得られないでいた。そして、いきなりの前進。「突然、幸運にも多くの改善が見られたのです」とデュマは語る。「チームは3週間コロラドに留まり、多くの進歩を見出すことができました」

コースの上部セクションで行った練習走行で、デュマはいきなり2013年のパイクスピークで、ローブがプジョー208 T16で記録した記録を10秒上回るタイムを記録した。突然クルマのハンドリングが改善したのだ。「クルマがシングルシーターか、スポーツプロトタイプのレースカーの様に感じられました。思わず、『いまの状態ならいけるぞ』といったほどです」


それでも、パイクスピークで物事が簡単に進むことなどはない。「デュマならコースレコードを更新できると思いました」と前のイベント・ディレクターであるフィル・レイトンは、レース前日に話しつつ、「それでも、ここでは実際に走ってみるまでは何が起こるか分かりません。つまり、コースが運命を決めるのであり、パイクスピークが記録達成を望むかどうかです」と続けた。

フォルクスワーゲン・モータースポーツが精力を傾けて、わずか7カ月で完成させたI.D. Rパイクスピークを目の当たりにすれば、そんなことはただの迷信だと思うかも知れない。

日曜午後の早い時間帯に嵐の到来が予測されたが、驚くほど経験豊かなチームの努力と能力、そしてこれまでつぎ込んできたものの大きさが、そんな考えをあっさりと覆すことになるのだろうか? ドイツのエンジニアリングが、パイクスピークを屈服させることになるのだろうか?

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