新型『レンジローバー・スポーツ・エレクトリック』の最終プロトタイプを「味見」 多くの面でエンジン版を凌ぐ可能性

公開 : 2026.08.31 18:55

独自開発のモーターに、118.5kWhのバッテリーを積む『レンジローバー・スポーツ・エレクトリック』が発売間近です。「らしさ」重視でエンジン版を凌ぐ可能性があるという最終プロトタイプを、UK編集部が取材しました。

トランスミッション・トンネル部分にバッテリーを実装

レンジローバーのバッテリーEV版へ試乗したのは、ちょうど1年前。今回は電動版「スポーツ」の、最終プロトタイプへの味見が叶った。実のところ、調整の違いを除いて、レンジローバーとレンジローバー・スポーツの技術は共通している。

電動の大型SUVの需要は、主要市場である北米では特に高いものとはいえない。それでも、ポルシェカイエン・エレクトリックやBMW iX5など、競合の登場は相次いでいる。ジャガーランドローバー(JLR)はこの1年間にテストを重ね、完璧な状態を目指したと主張する。

レンジローバー・スポーツ・エレクトリック 550PS(プロトタイプ)
レンジローバー・スポーツ・エレクトリック 550PS(プロトタイプ)

MLAプラットフォームは、当初からEV版も想定されていたが、開発の主軸はエンジン版。駆動用バッテリーは、シャシー中央のトランスミッション・トンネル部分に実装される。フロントモーターは、エンジンと同様にボンネット内のクレドールに組まれる。

フロアの位置はエンジン版と変わらず、パッケージングも同等。車重は、プラグインハイブリッド仕様へ並ぶとのこと。

悪路性能を求めてモーターはJLRの独自開発

必要な悪路性能を叶えるうえで、望ましいユニットは存在せず、駆動用モーターはJLRの独自開発。最高出力は450psか550psの2段階があり、電動パワートレインは電圧800Vで制御される。

バッテリーはAESC社製で、容量は118.5kWh。ちなみに、iX5は144.0kWhを誇る。航続距離は、欧州のWLTP値よりやや厳しい、北米のEPA値で531km。カイエン・エレクトリックと、充分に伍する持久力といえるだろう。

レンジローバー・スポーツ・エレクトリック 550PS(プロトタイプ)
レンジローバー・スポーツ・エレクトリック 550PS(プロトタイプ)

JLRは、エネルギー効率の高さを主張はしない。それ以上に、洗練された走りも含めて、レンジローバーらしさの維持へ軸足は置かれた。

均整の取れたスタイリングはエンジン版とほぼ同じで、フロントグリルは空気を通さないが、凛々しい表情は従来通り。アルミホイールは空力を意識したデザインの専用品で、EVのエンブレムがあしらわれるものの、もう少し新鮮味はあって良いと思う。

滑らかな運転体験はレンジローバー以上?

今回ステアリングホイールを握らせてもらったのは、砂利道や旅客機の胴体をくり抜いたセクションが設けられた、テストコース。グッドウッド・サーキットも1周することができた。果たして、運転体験はレンジローバーそのもの。それ以上かもしれない。

パワーの立ち上がりは感動的に滑らかで、本格的な悪路で大きな強みになるはず。トルクコンバータが力を伝えるより素早く、求めたトルクがタイヤへ伝達される。反応は極めて線形的で、緻密な制御も可能で、デフロックやローレンジは不要だという。

レンジローバー・スポーツ・エレクトリック 550PS(プロトタイプ)
レンジローバー・スポーツ・エレクトリック 550PS(プロトタイプ)

回生ブレーキに、調整用パドルは備わらないが、タッチモニターで2段階に変えられる。シフトセレクターでSを選べば、ワンペダルドライブが可能。どの状態でも、効きは直感的で扱いやすい。

JLRの技術者は、悪路ではワンペダルドライブが有効だと話していた。岩場を登るようなクロール走行では、低い速度域でも強い制動力が必要になるため、ブレーキペダルを併用した方が安定して進めるとしても。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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