ランボルギーニ・ムルシエラゴSV vs シボレー・コルベットZR1 回顧録

公開 : 2018.09.17 11:40  更新 : 2018.09.18 20:19

古典的なFRスポーツカー

ゼネラルモーターズがハーリー・アールの手によってデザインされた初代コルベットを発表したのは1953年のことだ。それ以降、現在にいたるまで、コルベットは小細工なしで真っ向勝負のシンプルなスポーツカーという立ち位置を貫き続けてきた。6代目になってなお、その基本的な文法は何も変わっていない。大排気量のパワフルなV8OHVエンジンをノーズに積み、シートは2座で、それなりに実用的なラゲッジスペースを備えた後輪駆動車のままである。

しかしこのZR1では、そうしたレシピを忠実に守りながらも、スパイスはノーマルより多めに効かせてある。もともと塩コショウで味付けしてある料理に、上からさらに粗挽きコショウを振りかけたようなメニューと言えるかもしれない。この場合の粗挽きコショウとは、6.2ℓV8にアドオンされた機械式過給器である。

小さな町の街灯すべてを照らすための発電量を得られそうなほど膨大なパワーをその長く低いボンネットの中に得たにもかかわらず、依然としてそれを路面に伝達するのは後ろの2輪のみだ。そのボンネットはカーボンファイバー製で、ZR1の外見上でいちばん目立つ識別点として機能している。

もっとも、そのボンネットにポリカーボネート製のパワーバルジが設けられていて、エンジンベイが見えるようになっているのはいささかやり過ぎの感がしないでもない。しかし、ZR1が変にくどい味付けでデザインされているのは、おそらく現在もっともお買い得のスーパーカーだからだと考えれば、これも許せる範囲だろう。

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