シボレー・コルベット Z06(1) 鋭角的な抜群の存在感 トップグレードのハードへ迫る

公開 : 2025.11.03 19:05

C8型のトップグレード、LT6エンジンを積むZ06 存在感抜群のスタイリング ドライバー中心の車内 目からウロコなV8のレスポンス 長時間も快適なツアー・モード UK編集部が試乗

C8型コルベットのトップグレード、Z06

世界的な展開を進めるべく、8代目シボレー・コルベット、C8型は2021年に欧州での販売が始まった。バッテリーEVへのシフトを理由に、数年ほど停滞した状態にあったが。

ようやく、グレートブリテン島には3種類の上陸が決定。ハイブリッドのE-レイも魅力的だが、トップグレードのZ06の方が、やはりアメリカのコルベットらしい。

シボレー・コルベット Z06(英国仕様)
シボレー・コルベット Z06(英国仕様)

ミドシップ化という決断は、Z06のためだったとシボレーの技術者は認めている。フェラーリランボルギーニポルシェなどに並ぶ600馬力以上のパワーは、フロントエンジン・リアドライブではトラクション不足で、受け止めきれないと理解されていた。

シャシーは、アルミとカーボンを用いた新設計のバックボーン・スペースフレーム。Z06ではサスペンションが引き締められ、ワイドトレッド化され、フェンダーも拡幅。ブレーキはディスクが大径になり、前は6ポッドキャリパーへアップグレードされる。

存在感は抜群 エンジンは5.5LのLT6

スタイリングは、鋭角的なラインが交錯し、存在感は抜群。威圧感すら伴う。ボディは、コンバーチブルかタルガトップの2択。後者でも、手でルーフパネルを外し荷室へしまえば、2分程でオープンになる。タイヤは、標準ではランフラットが組まれる。

追加費用で、更にシリアスな「Z07」仕様にも仕立てられる。サスペンションは一層引き締まり、ブレーキはカーボンセラミックに。ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2が包むアルミホイールは専用品になるほか、カーボン製ホイールも指定できる。

シボレー・コルベット Z06(英国仕様)
シボレー・コルベット Z06(英国仕様)

エンジンは、6.2LのプッシュロッドV8ではなく、オールアルミ製の5.5L DOHC V8「LT6ユニット」。鍛造のフラットプレーン・クランクが組まれ、レブリミットは8600rpmに設定され、自然吸気でも670psと63.4kg-mを繰り出す。北米では。

欧州では排気ガス規制が厳しく、8550rpmに646ps、60.5kg-mへ制限される。車重は、Z07パッケージを組んだ状態で計測し、1670kg。軽いとはいえないだろう。

ドライバー中心のインテリアデザイン

ルーフパネルを固定したままでも、乗降性は良好。キャビンは比較的タイトで、シート後方にカバンを置ける空間はなくても、荷室はゴルフバッグが入りそうなほど大きい。フロント側の収納も、実際に使える大きさがあり、実用性は低くない。

インテリアデザインはドライバー中心で、価格相応の上質さ。メーター用モニターは見やすく、インフォテインメント用タッチモニターは斜めに据えられ、シフトセレクターやドライブモード・スイッチも、手を伸ばせば届く位置にある。

シボレー・コルベット Z06(英国仕様)
シボレー・コルベット Z06(英国仕様)

試乗車は、カーボン製の化粧トリムが各部を彩り、それ以外を埋めるアルカンターラが高級感を醸し出していた。バケットシートは、若干背もたれの高さが低めながら、座り心地が良く角度などの調整範囲も広い。

とはいえ、ステアリングホイールの位置が低めで、頭上空間は限定的。シートの座面は、30mm程度低くて良い。身長の高いドライバーがヘルメットを被ったら、狭く感じられると思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

シボレー・コルベット Z06の前後関係

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