歴代初の四輪駆動&ハイブリッド シボレー・コルベット E-レイでスコットランドへ(1) 嵐の中で感じた扱いやすさ

公開 : 2026.04.07 18:05

643psで四駆のハイブリッド、コルベット E-レイが英国でも発売。心地良いコクピットへ調和する乗り心地に、季節問わず楽しめる圧倒的な動的能力。UK編集部がスコットランドで実力に迫ります。

モーターは三菱製 総合643psのV8ハイブリッド

筆者は今、嵐の真っただ中。グレートブリテン島の北西部、グレットナへ続く高速道路を北上中だが、反対車線では強風に煽られたトレーラーが立ち往生していた。情報標示板によれば、警報が出されたらしい。

冬のスコットランドへ旅しようと決めたのは、欧州へ上陸したシボレーコルベット E-レイを試すのに理想的だと考えたから。だが流石に、引き返そうかと一瞬思った。

シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)
シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

コルベット E-レイは、アメリカ・ケンタッキー州で作られるマッスルカー。自然吸気の6.2L V型8気筒エンジン、LT2ユニットをミドシップしつつ、フロントには三菱社製の駆動用モーターが仕込まれている。バッテリーは、1.9kWhの容量がある。

エンジンの出力は488psで、モーターの出力は162ps。システム総合で643psを発揮する、歴代初の四輪駆動でハイブリッドのC8世代は、正真正銘のコルベットと呼べるだろうか。あるいは、シーンを選ばないモダン・スーパーカーとして、楽しめるだろうか。

心地良いコクピットへ調和する乗り心地

まず目指したのは、カメラマンが待っている、グレットナという町。ロンドンから500kmほど北上したが、グランドツアラーとしての能力へ感心する。V8エンジンの存在感は、控えめだが紛れもない。燃費は11.4km/Lと、排気量を考えれば素晴らしい。

メーターパネルによれば、走りながら4.1kWhの電気を発電したという。磁性流体ダンパーは、居心地の良いコクピットと見事に調和した、乗り心地を叶えている。バケットシートは少しキツイが、あえていえば。ボーズ社製オーディオの音質も、美しい。

シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)
シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ロンドンを出発した早朝から、印象は良かった。ブレーキペダルを踏み込み、ドライブモードのダイヤルを回せば、ステルス・モードが起動。56km/h以下で数kmだけだが、電気だけで静かに出発できる。住宅地を抜けるのに、充分な距離だろう。

コルベットは小型護衛艦の呼称が由来

フェラーリマクラーレンなどもハイブリッドのスーパーカーを擁するが、それはプラグイン。コルベット E-レイは、回生ブレーキの発電だけで充電され、充電器へプラグを繋ぐ手間がない。日常的な速度域なら、常に電気アシストを頼れる。

今回は、グレットナから更に約300km北上し、グラスゴーやロモンド湖を通過して、スコットランドのフォート・ウィリアムという小さな町へ。風光明媚なストラスキャロンやユー湖を巡りつつ、ハイランド地方を周遊しようと思う。

シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)
シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ちなみにユー湖は、第二次大戦時は拠点の1つだった。ドイツの潜水艦、Uボートを迎撃するため、小型護衛艦「コルベット」がここから戦地へ向かった。1952年に、シボレーの広報マンが新モデルの名称を思案していた際、辞書で見つけて採用を決めたらしい。

お借りしたコルベット E-レイが、軍艦に塗られるようなソリッド・グレーなのは、まったくの偶然。既に日は傾き、予定通りフォート・ウィリアムで一泊する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

シボレー・コルベット E-レイでスコットランドへの前後関係

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