完成度は歴代最高! シボレー・コルベット E-レイでスコットランドへ(2) 製造品質はドイツ水準 初めて欲しいと思った

公開 : 2026.04.07 18:10

643psで四駆のハイブリッド、コルベット E-レイが英国でも発売。心地良いコクピットへ調和する乗り心地に、季節問わず楽しめる圧倒的な動的能力。UK編集部がスコットランドで実力に迫ります。

想像以上に自然なフロントモーター

速度域が上昇するほど、シボレーコルベット E-レイの個性がつまびらかになる。瞬時に唸りを上げるクロスプレーン・クランクのV8エンジンは、4500rpmで62.3kg-mのトルクを発揮。駆動用モーターが前から補助するが、挙動は想像以上に自然だ。

アクセルペダルはストロークが長く、リニアで、尖すぎないほどにレスポンシブ。右足を深く倒せば、総合82.1kg-mの最大トルクが繰り出される。速度上昇は不満なく鋭く、トラクションは望外に高い。

シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)
シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

他方、6500rpmで頭打ちになり、ターボエンジンに慣れた人は、もう少し積極的な速度上昇を求めるかもしれない。ステアリングホイールはライバルより重く、セルフセンタリング性は強くなく、感触はやや人工的。時折、2.0t近い車重を実感させる。

それでも、リアのグリップ力は揺るぎない。テールをムズがせるような刺激は得難いものの、季節不問のスーパーカーと呼べる能力を垣間見せる。

効果的な人工音 歴代最高といえる完成度

シボレーは、レブリミット手前の1000rpmで奏でられる、人工サウンドを仕込んでいる。大排気量のV8エンジンなのに? と疑問を抱きそうだが、実際にはハッとするほど効果的。ストレートカット・ギアが唸るような響きだ。

ロードノイズが小さい路面なら、回生ブレーキ時にモーターの唸りも僅かに聞こえる。ハイブリッド時代の、リアルな演出といえる。ブレーキは、カーボンセラミック。高速走行時でも扱いやすく、必要な制動力を正確に引き出せる。

シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)
シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

一緒の時間が長くなるほど実感するのが、歴代最高といえる完成度。ボディは剛性が高く、安定性に優れ、信頼感を築きやすい。シャシーは衝撃吸収性に優れ、滑らかに旋回し、バランスは秀抜。高い速度域を、余裕で保てる。

エンジンの後ろには、数泊分の荷物を押し込める荷室がある。8速デュアルクラッチATの仕事も上質。深く陶酔させる強刺激まではないとしても、スーパーサルーンと比較したくなるほど、能力には幅がある。

大人びた優雅さとは一線を画す存在感

午後になり、再び給油。曇り空の下で、コルベット E-レイを改めて眺める。カーボン製ホイールを履くことへ、今まで気付いていなかった。

C8世代のコルベットには2種類の全幅があるが、E-レイは広い方で2m超え。リアフェンダー周辺の造形は、捕食動物の様にアグレッシブだ。鋭いフロントノーズと相まって、大人びた優雅さとは一線を画す、存在感がある。

シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)
シボレー・コルベット E-レイ 3LZ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

インテリアは柔らかなレザーで包まれ、要所を金属製部品が引き締める。人間工学にも不満はなく、製造品質はドイツ水準といっても過言ではない。今まで、筆者はコルベットを欲しいと思ったことはなかったが、これは本当に気に入った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

シボレー・コルベット E-レイでスコットランドへの前後関係

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