NA V8が生む類まれな幸福感 シボレー・コルベット Z06(2) 目からウロコなレスポンス

公開 : 2025.11.03 19:10

C8型のトップグレード、LT6エンジンを積むZ06 存在感抜群のスタイリング ドライバー中心の車内 目からウロコなV8のレスポンス 長時間も快適なツアー・モード UK編集部が試乗

目からウロコなアクセルレスポンス

C8世代のシボレーコルベットで、トップグレードとなるZ06。ミドシップされるエンジンは、クラシカルなスモールブロックではなく、フラットプレーン・クランクが組まれた「LT6ユニット」。サウンドは、アイドリング時から滑らかで勇ましい。

アクセルレスポンスは、目からウロコなほど即時的。高回転域へ、ドラマティックに上昇する。低域ではやや大人しい印象はあるが、扱いやすいともいえる。それでいて4000rpm以上では、壮大な響きとともに大パワーが溢れ出す。

シボレー・コルベット Z06(英国仕様)
シボレー・コルベット Z06(英国仕様)

6000rpm以上では更に一段、勢いが増す。ホンダのVTECエンジンほどではないとしても。8550rpmのレッドライン目掛けて引っ張れば、フェラーリのユニットにも劣らない、ハードエッジな音響体験に包まれる。

動力性能も素晴らしい。AUTOCARの計測では、0-100km/h加速を3.1秒でこなし、161km/hには6.8秒で到達した。0-400mダッシュは、11.2秒という俊足。欧州のライバル、ポルシェ911 ターボSやフェラーリ296 GTBへ肩を並べる。

高精度な操縦性と安定性、鋭い旋回性

試乗車のブレーキは、カーボンセラミック。キーキーと鳴くことはあるが、制動力を調整しやすい。8速デュアルクラッチATは、迅速にギアを切り替える。いずれも、自然吸気のV8エンジンが生む芳醇な体験を、しっかり補完する。

コルベット・スティングレイでは、ミドシップ・スポーツとしてややソフト側の設定にあるサスペンションは、Z06では一転。更にZ07パッケージが組まれた試乗車は、遥かに高次元なグリップ力で、高精度な操縦性と安定性、鋭い回頭性を実現している。

シボレー・コルベット Z06(英国仕様)
シボレー・コルベット Z06(英国仕様)

姿勢制御に無駄はなく、スティングレイとは別物のコルベットという印象すらある。タイヤが温まった状態での限界は、極めて高い。相応な覚悟が必要なほど。

適度な重み付けのステアリングは、296 GTBほどクイックではない。とはいえ反応は精緻で、フロントタイヤは頼もしく路面を掴み、きっかけがなければリアタイヤもヒタヒタと路面を蹴り続ける。高速コーナーでは、軽くない車重を見事に包み隠してもいる。

長時間の移動でも快適なツアー・モード

トラック(サーキット)やレース・モードへ切り替えると、サスペンションは容赦なく硬くなる。平滑なアスファルトでない限り、ステアリングには路面変化の影響が及びがち。垂直方向の入力で、小さくない衝撃が車内へ届く。

恐らく、ランフラット・タイヤの影響もあるとは思うが、軽くない車重が主に関係しているはず。1670kgの車重を、ポルシェ並みの洗練度で制御することは、簡単ではない。

シボレー・コルベット Z06(英国仕様)
シボレー・コルベット Z06(英国仕様)

他方、ツアー・モードの快適性には唸らされる。磁性流体を用いたダンパーは、滑らかに路面の不整をいなし、高速巡航をジェントルにこなす。風切り音やロードノイズは小さく、8速ATがV8エンジンを低回転に保ち、長時間の移動でも疲労度は小さいだろう。

燃費は、カタログ値で6.1km/L。価格は、英国では18万2920ポンド(約3622万円)から。カーボン製ホイールは約1万ポンド(約198万円)のオプションだが、競合と比較すれば、値段以上の動的能力を備えると表現していい。10万kmの保証も付帯する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

シボレー・コルベット Z06の前後関係

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