試乗 グランドチェロキー・トラックホーク ヘミ・ユニット搭載 0-100km/h3.7秒

公開 : 2019.01.07 10:10  更新 : 2019.01.07 11:31


みなぎるパワーに追いつかないシャシー

これほどまでに個性豊かで、凶暴な本物のサウンドを楽しめるエキサイティングなエンジンは、いまどき非常に珍しい。強烈なエンジンの回転音に釣り合いの取れる加速が得られているのかはわからないが、高回転域に向けてクレッシェンドしていくエンジンノイズは、素晴らしいほどにドラマティック。現代の大パワーを誇る、V型8気筒ターボエンジンのアンチテーゼ的存在だ。

しかし、グランドチェロキー・トラックホークのシャシーは、搭載するエンジンの魅力を引き出すのには充分ながら、みなぎるパワーに相応しい完成度とまではいい難い。スプリングレートは妥協ないほど高められ、ライバルが備えるアクティブ・アンチロールバーやトルクベクタリング・システム、四輪操舵システムなどのテクノロジーの欠如を、多少埋め合わせしてくれてはいる。

そのかわり、低速域での乗り心地は常に荒々しく、スピードを上げても落ち着きが生まれることはない。また、サスペンションにはアダプティブダンパーが採用されているが、長距離をリラックスして走らせたいと思えるような、煮詰められた調整は施されていない。せっかくハイスピードで走ることができるのに。

ボディロールなど横方向のボディコントロール性や、ハンドリングのバランスは良好で、滑らかな路面であれば、この巨体を勢いよく走らせるのに充分な一体感と、落ち着きのある挙動を示してくれる。反面、上下方向の動きは芳しくない。

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