アウディはすべて似すぎ? 乗ると印象は異なる? 試乗で探る 後編

公開 : 2019.01.03 08:40  更新 : 2021.10.11 14:52

焦点がいまひとつボヤけている

シフトアップ&ダウンの接ぎ目は速く短く滑らかだし、パワー感もあるのだが、何となくしっくり来ない。ステアリングから伝わってくるフィールも、概してリニアで忠実なのだが、ほんの少し間が空いてから反応する印象で、これまで乗ってきた他のアウディに比べてすっきりしないというか、緻密さが足りず、動的質感の焦点がいまひとつボヤけているように感じた。

考えられる原因はふたつ。まずQ5の7速Sトロニックのギア比は、1〜8速までA5スポーツバック、A5カブリオレとまったく一緒だが、最終減速比は前後車軸それぞれ5.301と5.300。

対してA5スポーツバック、A5カブリオレは4.269と4.272なので、同じ回転数でもQ5の方が出足が鈍く、クワトロにしてもリア駆動を強めたA5スポーツバック、A5カブリオレのキビキビ感とすっかり差がついてしまうのも、むべなるかなと思わされる。

もうひとつは、縦置きの直4エンジンの搭載位置。エンジンルームを覗き込むと、奥側のエンジンヘッドからバルクヘッドまでが随分と空いていて、トランスミッションまで見えてしまうほど。

つまり本来、SQ5のようなV6か、あるいはV8が座るべき広大なスペースで、所在なさげに2ℓ直4が据えられているように見えてしまうのだ。

記事に関わった人々

  • 南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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