試乗 ボウラー・ブルドッグV8SC 見た目は110 575psを手懐けるシャシー

公開 : 2019.02.20 10:40

 

劇場型ユニットを手懐けるシャシー

このエンジンのピークは6000rpmだが、この領域になると、グラスファイバー製のボディから飛び出すのではないかと思うほどの劇場型ユニット。レース前提のエンジンだけあって、始動直後のアイドリングは荒々しいし、給油するだけでも特別感がある。公道を走れるラリーレイド・マシンとして、コンセプトにも合致するし、カリスマ性すら感じられる。

しかし、エンジンは一発で目を覚まし、アイドリングはすぐにスムーズな状態に落ち着く。スーパーチャージャー付きのV8は、1800kgある車体を軽々と動かす。英国郊外の小さな町を穏やかに流すことも難しくはないが、うっかり石積みの壁をなぎ倒してしまわないかと、心配し続けることにはなるけれど。

どのくらい速いかというと、恐らくコーナーではアウディRS4に置いて行かれると思うが、次の開けた直線で、間違いなくRS4に追いつけるだろう。ZF社製のATのセッティングはランドローバー社が行っていることもあり、まばたきする間にシフトチェンジが完了するということはないが、変速はスムーズ。むしろ、シフトアップ後のトルクの盛り上がりが強調されるから、ドラマチックさを楽しめる。素早くシフト操作をしようとしても、僅かなタイムラグが間に挟まってしまうのだが。

この強力なパワーを秘めながら、暴れることなくコーナーをすり抜けていくコントロール性は、素晴らしいの一言。ボディロールは生じるものの、抑制されており、その発生度合いも自然。通常のディフェンダーを運転する感覚とはまったく異なる。全方位的なダイナミクス性能という点では、多くのメカニカルコンポーネンツを共有する、レンジローバー・スポーツに似ているようには感じられた。

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