AUTOCARアワード2019 イシゴニス賞 ディーター・ツェッチェ

公開 : 2019.06.01 18:50  更新 : 2019.06.03 08:54

AUTOCARアワード最高の栄誉であるイシゴニス賞は、今年ダイムラーのCEOを退任したディーター・ツェッチェに贈られます。数々の功績を残し、栄光とともにCEO退任を果たしたツェッチェですが、そんな彼最大の贈り物は、ネクタイを外したことだったのかも知れません。

もくじ

大きな功績 見事な退任
答えは必ず見つかる EQCの持つ意味
変わらぬ刺激 注意が必要
お気に入りの1台 スタイリングの重要性
番外編1:Dr. Zに訊く電動化の未来
番外編2:過去のイシゴニス賞受賞者たち

大きな功績 見事な退任

ダイムラーのような会社のトップが、さほど重要でない会議の場でネクタイを着用することはもうないかも知れない。ダイムラーCEOとして、長きにわたり数々の功績を打ち建て、今年、英国版Autocar最高の賞であるイシゴニス賞を受賞した、ディーター・ツェッチェ博士が、会議の場でネクタイをしなくなったのは2015年ことであり、彼の信奉者たちも、それに倣うことにしたのだ。

メルセデスブランドのCEOとして、失敗に終わったクライスラーとのアライアンスに終止符を打ち、ダイムラーの企業文化に変革をもたらし、メルセデス製モデルの多くもリコール対象となったにもかかわらず、ディーゼルゲートの最悪期を乗り越え、2016年にはBMWを逆転し、積極的に新たな電動化の時代への対応を推し進め、財務内容を安定させて収益体制を強化するとともに、将来へ向けてのビジョンを残したまま退任するという、ツェッチェの数々の功績と同じくらい、このネクタイの着用停止は、4年後のいまもひとびとの記憶に残っている。

ツェッチェは、さまざまな出来事に彩られた13年を過ごし、今月グループCEOを退任している。ネクタイをしなくなった理由について、彼が公式コメントを発表したことはないが、明らかに、これは新たな自動車ビジネスの始まりと、企業文化の変革に向けたメッセージだった。


有給休暇を使い切ったあと、数年内には監査役会会長へ就任することになる彼から、ダイムラーという象牙の塔に、その形式にとらわれないやり方を持ち込むことができるのかどうか、是非聞いてみたいと思っていた。

一方で、彼が後任に指名したのは、オラ・ケレニウスであり、彼も外国籍として、50歳にも満たずにCEOに選ばれたという、ダイムラーの歴史を覆す存在であり(彼の国籍はスウェーデンであり、来月50歳の誕生日を迎える)、どんな場所でもつねにネクタイは着用していない。

ツェッチェのアイデアも反映されたメルセデス新時代が始まったこのタイミングでの退任は、奇妙にも思えるが、欧州のビジネス評論家たちは、この時期での退任は綿密に計画されたものだと見ており、昨年のフォルクスワーゲングループCEO、マティアス・ミュラーのケースなどと比べれば、はるかに見事なものだと評価している。

いずれにせよ、2021年には監査役会会長に就任することで、ツェッチェの影響力は温存されるのであり、あるドイツ人は、彼のCEO退任に伴い、ダイムラーは「かつてないほど、女性や外国人、若い世代が活躍する会社」になると言う。

 

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