AUTOCARアワード2019 デザイナー部門 ジル・ヴィダル/プジョー

公開 : 2019.06.01 19:50  更新 : 2019.06.03 08:54

独自のコンセプト 不変の価値

「15年前であれば、美しいラインがすべてでした。つまり『自分こそが、驚くべきラインでクールなスタイリングを創り出すことのできる偉大なデザイナーであり、このダッシュボードの造形を見て欲しい』といったようなことです。もちろん、そうしたこともデザイナーの仕事の一部ではあり、そのための技術は必要ですが、われわれは、単なるボディスタイリストではなく、真のデザイナーになる必要があります。ひとびとのためのデザインをする必要があり、お客様の明日が、より良いものとなるようにしなければならないのです」

これは、それぞれのセグメント毎に、異なるデザインがプジョーの各モデルには与えられることを意味している。「プジョーの全モデルを通じて、ブランドのアイデンティティーとなるものは必要ですが、それぞれのセグメントごとに、それぞれのコンセプトが求められています」と、ヴィダルは話す。

「小型モデルなのか大型SUVなのか、こうしたモデルにはそれぞれ異なる役割があり、それぞれ異なるドライバーに向けたモデルなのですから、508が208と同じデザインでいい訳がありません。同じデザインを単にスケールアップしたり、スケールダウンしたり、長くしたり短くしたりするようなブランドもありますが、われわれはそんなマトリョーシカのようなやり方が良いとは思っていません。ブランド全体のアイデンティティーと、それぞれのコンセプトに基づいた、それぞれのデザインのバランスを見つけ出そうとしています」

ヴィダルのもと、プジョーのデザインは真にグローバルなものとなっている。「上海にもデザインスタジオがありますが、そこで働いているデザイナーのほとんどが中国人です」とヴィダルは言う。「彼らはプジョーの未来に繋がる、非常に素晴らしく、見事なアイデアを考え出してくれます。中国の文化を持ち、中国で教育を受け、さらにはプジョーとは何かを理解することで、チームの一員となってくれています。物理的には離れていますが、精神的には密接に結びついているのです」

最近行われた208の発表会で、プジョーはこのクルマの横に205 GTiを置いているが、この決断は、彼らデザインチームの、強い自信を表しており、それはまさに、504の隣でe-レジェンド・コンセプトを発表した時と同じものだ。

「確かに、504を目指すというのは大胆な挑戦でしたが、まさに、208のとなりに205を置いたのも、同じ狙いからです」とヴィダルは言う。

「ですが、決して205の再来を狙っているわけではありません。当時の205と同じようなクールなモデルにしようというわけではありませんが、真に魅力的なモデルが持つ、基本的な価値というものを表現したいと考えています。これがわれわれの狙いであり、現代的な方法で、それを実現したいと考えています」

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