ロードテスト メルセデス・ベンツGクラス ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.07.28 09:50

走り ★★★★★★★★★☆

2.5トンもあるクルマだが、1200rpmでピークトルクを発生するエンジンは、優れたパフォーマンスとドライバビリティをもたらす。Gクラスが速くないかといえば、それは議論の余地がある。

0-97km/h加速タイムは、2017年にテストしたランドローバー・ディスカバリーTD6を1秒以上凌ぎ、高速道路でも市街地の速度域でも、追い越しにも回転を上げてパワーを引き出す必要がない。9段のギアボックスは明らかに強力な牽引力を引き出し、最初に適切なギアをうまく選ぶと、状況に合わせて適宜シフトチェンジを続ける。シフトパドルでの手動変速もできるが、その必要性は滅多に感じない。ギアボックスとエンジンのマッチングが、効率面でもレスポンス面でも優れている証拠だ。そして、このクルマの目的の性質にも、それは合っている。

ヘヴィデューティな牽引や極低速での過酷な悪路走行をするなら、G350dはその備えがバッチリされている。スロットルペダル踏みはじめのプログレッシブなレスポンスは、望むままの穏やかでスムースな動き出しを容易にする。もちろんそれは、トランスミッションがハイレンジでも可能だ。低速で勢いを維持しコントロールするのはきわめてイージー。それを抑えるのも、良好なブレーキペダルのフィールゆえにこれまたイージーだ。

機械的な洗練度はこの上なく、これまでのディーゼルエンジンを積んだGワーゲンでは望めなかったほど。それは燃費にもいえることで、テストでの平均値は8.8km/ℓとメーカー公表のWLTP値よりやや低いが、ツーリング燃費では長距離を走れば11 km/ℓも超えることができることがわかった。ドライの舗装路におけるブレーキングでは、車重の影響とダイブの傾向を示すが、それでも制動性能は十分以上だった。

オフロード

新世代のGクラスはついに、フロントサスペンションが独立懸架となった。しかし、AMGがマウント位置を高く設計したので、ホイールの可動域はこれまでどおりか、むしろ改善されている。アプローチ/デパーチャー/ブレークオーバーの各アングルはいずれも数度ながら増しており、100mm深くなった700mmの渡河深度はクラストップクラスだ。

短いオフロード試乗では、前進を脅かされることがなかった。深い泥道でも、3つのデフロックをひとつも使う必要がないほど十分なトラクションがあり、轍や軽い岩場では、ステアリングのアキュラシーは失われず、破綻することはない。

唯一の疑問は、1500万円級の価格となると、オフロード走行でサイドシルを擦らないかと慎重になってしまうのではないかということだ。ジープラングラーのようなロックレールは用意されていないし、後付けしようと思ったらコストがかさみそうだ。


最大渡河深度:700mm
最低地上高:241mm

発進加速


テストトラック条件:乾燥路面/気温16℃
0-402m発進加速:15.8秒(到達速度:142.1km/h)
0-1000m発進加速:29.2秒(到達速度:175.3km/h)


ランドローバー・ディスカバリーTD6 HSEラグジュアリー(2017年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温10℃
0-402m発進加速:16.8秒(到達速度:133.9km/h)
0-1000m発進加速:31.0秒(到達速度:167.0km/h)

制動距離


テスト条件:乾燥路面/気温16℃
97-0km/h制動時間:3.40秒


ランドローバー・ディスカバリーTD6 HSEラグジュアリー(2017年)
テスト条件:乾燥路面/気温10℃

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