【最新シミュレーターの現在地】どこまで実車を再現? Gが重要 後編

公開 : 2019.12.27 17:50  更新 : 2019.12.28 07:55

本物と同じ? 答えは実車との比較で

いまや、シミュレーターで感じる感覚は、かつてよりもはるかに実際の路上で感じるものに近くなっているのだ。

いずれにしても試してみる必要がある。

実際のテストを行う機会はほとんどなかったため、フォードからル・マンに参戦したドライバーは、シミュレーターを使って2時間分の夜間走行テストを行った。
実際のテストを行う機会はほとんどなかったため、フォードからル・マンに参戦したドライバーは、シミュレーターを使って2時間分の夜間走行テストを行った。

シミュレーターのシートにしっかりと固定され、まったく馴染みのないサーキットを舞台に、フォード・マスタングGT4と、その後フォードGTのレースカーをドライブしてみたが、その衝撃は想像以上だった。

GT4が激しいサウンドとともに、まさに古のフロントエンジンモデルだと感じさせる挙動を見せた一方、GTのレースカーはダウンフォースによる高いスタビリティーを発揮し、ペースは圧倒的に速いにもかかわらず、そのドライビングはGT4よりもはるかに容易に感じられた。

まさに本物のマシンを運転しているように感じられたなかで、唯一の例外がブレーキングかも知れない。

ブレーキペダルを踏み始めた時の最初の挙動はリアルに感じられるものの、そこからターンインまでの間に奇妙にデッドな感触があり、感覚的にスクリーンに映し出される映像とマッチしないのだ。

反対にストレートでは、その前のコーナーでの挙動を修正するかのように、徐々にセンターへと車両を戻すような動き感じることがあった。

だが、縁石に乗り上げた感覚や、オーバーステアやアンダーステアへの移行など、すべてがまるで本物のようであり思わず夢中にさせられた。

ではまったく本物のドライビングと同じ感覚だろうか?

まさにそれが問題であり、次回本物のフォードGTのステアリングを握って確かめてみたいと思う。

番外編:ゲーミングシミュレーターの実力

今回ご紹介したような自動車メーカーが使用するシミュレーターと比較して、ゲーミングシミュレーターを馬鹿にするようなひとびとは少なくないが、ゲーミングシミュレーターが目指すゴールも同じであり、実際に運転しているような感覚を再現することだ。

本物のフィードバックが無いために、車両の状態をオーバーに再現したり、やや遅れて伝えてくるようなゲーミングシミュレーターも存在する。

ヤン・マーデンボロー:ゲームからル・マンへ
ヤン・マーデンボロー:ゲームからル・マンへ

自動車メーカーが使用するシミュレーターであれば、オーバーステアに移行しつつあることをその動きで伝えて来るが、ゲーミングシミュレーターでは不可能なために、違った方法でマシンの状況を伝えて来る。

だが、シミュレーターとゲーミングシミュレーターには何の繋がりもないと考えるのは早計だろう。

rFproシミュレーションソフトを使っているエンジニアよりも、rFactorでプレイするゲーマーの方が多いが、どちらもそのベースとなる「エンジン」は同じものだ。

さらに、日産のGTアカデミーとWFG(World’s Fastest Gamer)では、ゲームを使って数千時間ものトレーニングをドライバーに課すことで、実際のル・マンの表彰台すら獲得可能であることを証明している。

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