マセラティMCプーラ・チェロ(2) あえて荒削りに調整された体験に魅了 見応えある大胆なフライングバットレス

公開 : 2026.06.23 18:10

アップデートを受けたマセラティMCプーラ、そのオープンモデル『チェロ』。UK編集部が向かったのは、グレートブリテン島有数のUFO目撃多発地帯です。あえて荒削りに調整された運転体験を、雄大な丘陵地帯で堪能します。

スポーツ・モードでシャープな身のこなしを堪能

マセラティMCプーラ・チェロをしばらく走らせ、1980年に警察官のアラン・ゴッドフリー氏がUFOにさらわれたという場所へ。そこへ、特に看板などはなかった。風力発電の巨大なブレードが、遠くで勢い良く回転している。

UFOが飛来するようには思えず、緩やかにうねる国道A646号線へ発進。MCプーラ・チェロの潜在能力を、探ることにする。

マセラティMCプーラ・チェロ(英国仕様)
マセラティMCプーラ・チェロ(英国仕様)    シム・メイニー(Sim Mainey)

以前、MC20のステアリングホイールを握った時は、濡れた路面で荒々しい個性にゾクゾクしたが、晴天の今日はヒタヒタと落ち着き払っている。グリップ力は揺るぎない。

ドライブモードを、GTからスポーツへ。ボディの動きに締まりは増すが、アスファルトの隆起部分を通過しても、ダンパーは平然と処理を続ける。それでいて、よりシャープな身のこなしを堪能できる。8速デュアルクラッチATの反応も素早くなる。

あえて荒削りに調整されたマセラティの体験

正直なところ、公道でMCプーラ・チェロの驚異的な能力を全開放することは難しい。3.0L V6ツインターボの回転数をギアで積極的に上下させつつ、許される速度域で片鱗を味わう。

連続するヘアピンカーブで、現代のスポーツカーとしては、あえて荒削りに調整されたマセラティの体験へ魅了される。ミドシップならではの僅かに後ろ寄りの重量配分と、後方から蹴り出されるような感覚、精彩で安定したコーナリングに満たされる。

マセラティMCプーラ・チェロ(英国仕様)
マセラティMCプーラ・チェロ(英国仕様)    シム・メイニー(Sim Mainey)

ブレーキペダルは、踏み応えが柔らかく感触は単調。サーキットで、蹴飛ばすように踏むことを想定しているのかもしれないが、ワインディングでの繊細な速度調整に向いているとはいえないだろう。

手足を意欲的に動かし、ペースアップしても良かったが、オープントップのボディが気持ちをなだめる。晩春の太陽が眩しい。

大胆な後ろ姿を形成するフライングバットレス

競合モデルの影響を垣間見せるMCプーラ・チェロだが、無二のスーパーカーであることも実感する。オプションを満載した試乗車の価格が、30万ポンド(約6300万円)に迫っていたことを考えれば、当然かもしれないが。

幾重にも塗られたフォーリセリエ塗装が、鮮やかに輝く。ソフトトップと引き換えに、V6エンジンを鑑賞できるガラスカバーは失われても、フライングバットレスが見応えある大胆な後ろ姿を形成している。

マセラティMCプーラ・チェロ(英国仕様)
マセラティMCプーラ・チェロ(英国仕様)    シム・メイニー(Sim Mainey)

ウェスト・ヨークシャー州のワインディングを飛ばせば、クーペ以上の興奮を誘う。V6エンジンの響きを、太陽の光とともに直接浴びれる。重低音がキャビンを満たし、細かい悩みなど忘れてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

マセラティMCプーラ・チェロの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事