【ボルボのガラス製ギアセレクター】まさに工芸品 感じるのは深い繋がり? 後編

公開 : 2019.12.22 16:50

時代を超越したマテリアル

さらに、ギアセレクターは極限の温度テストに耐えるとともに、車両が途轍もない悪路を通過しても破損しないという、通常シャンパングラスには求められないような能力も求められる。

これまでのところ、ひとつとして破損したギアセレクターは存在しない。「決して壊れることはありません」とショーグレンは言う。「絶対に破損などしないのです」

オレフェスとコスタ・ボダは合併したものの、いまもそれぞれのブランドを使用している。オレフェスがクリスタル・ガラスに注力する一方、コスタ・ボダでは色付きガラスを得意にしている。
オレフェスとコスタ・ボダは合併したものの、いまもそれぞれのブランドを使用している。オレフェスがクリスタル・ガラスに注力する一方、コスタ・ボダでは色付きガラスを得意にしている。

オレフェス-コスタ・ボダとボルボは苦労が報われたと感じている。

「この経験はわれわれをより創造的にするだけでなく、わが社に対する注目を高める機会にもなりました」と、オレフェスのトップ、ウルフ・キニソンは話している。「われわれの可能性を示すことが出来たのです」

ガラス製ギアセレクターを実現した多くの努力のように、まったく必要ではない何かにこそひとは夢中になれるのかも知れない。

テクノロジー至上主義の現代において、このガラス製ギアセレクターは、何かもっと信頼できるものとの具体的な繋がりを感じさせてくれる。

「お客様が実感できるものです」と、ベリストロームは言う。「クリスタル・ガラスとは時代を超越した最新のマテリアルであり、われわれは新たな方法でこれを使っているのです」

番外編:イッツ・ア・マテリアル・ワールド

クリスタル・ガラスだけが新車で使われている唯一の珍しいマテリアルというわけではない。

ゴールドはいかが?

もしクリスタル・ガラスでは物足りないというなら、ゴールドで出来たパーツはいかがだろう?

ロールス・ロイス・ファントム・ジェントルマンズエディション
ロールス・ロイスファントム・ジェントルマンズエディション

まさに、1992年に登場したF1でマクラーレンがやって見せたことだ。

自らのフォーミュラ1マシンからアイデアを得て、F1のV12エンジンでは遮熱用にゴールドで出来たフィルムを採用している。

だが、単なる見掛け倒しではない。ゴールドは熱の吸収にも優れた性能を発揮するのだ。

ゴールドでは物足りない?

だが、もしゴールドでも物足りないと言うなら、ルテニウムはいかがだろう?

白金族に属する希少な金属であり、その生産量は非常に限られている。

そして、このマテリアルが使われているのがロールス・ロイスのビスポーク部門が創り出した、ファントム・ジェントルマンズエディションの超豪華な「ギャラリー」だ。

ベントレー:4800年前のインテリア

ベントレーではチャリティー団体のフェンランド・ブラック・オーク・プロジェクトと協力関係にあった。

彼らは、イースト・アングリアにあるかつて湿地帯だった場所から回収した4800年前のフェンランド・ブラック・オークを使って、長さ13mのテーブルを創り出している。

希少なため、大量に使用することはほとんどないというのに、コンセプトモデルだったベントレーEXP 100 GTのキャビンには、ブラック・オークで作られたパネルが何枚も使われていた。

それでも、ウッド自体はいまも多くのクルマで重要な役割を果たしており、モーガンでは依然としてトネリコ製のフレームを使用している。

シートベルトから創り出されたシートベルト

持続可能性がさらに重要性を増すなか、自動車メーカーでは再生マテリアルの使用量をますます増やしている。

新型ルノー・ゾエでは、シートベルトやその他の内装材に、プラスチックボトルや歯切れ、そして古いルノー製モデルから回収したシートベルトから再生したリサイクル繊維を使用している。

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