豊かな歴史が詰まったアウディ博物館の至宝(前編) 魚の鱗を使ったリムジンから唯一無二のレア車まで

公開 : 2026.06.13 11:25

ドイツ・インゴルシュタットにあるアウディ博物館(Audi Museum Mobile)には、ホルヒやDKW、アウトウニオンの貴重な車両が数多く展示されています。今回はその一部をピックアップして紹介します。

ホルヒやDKWの超貴重車両も展示

アウディ(Audi)の歴史を知るには、提携や買収が織りなす複雑な網の目をたどる必要がある。

ドイツの実業家アウグスト・ホルヒ氏が1910年にアウディを設立したが、彼は1920年に同社を去った。その後、アウディは1932年、ホルヒ(Horch)、DKW、ヴァンダラー(Wanderer)と合併し、アウトウニオン(Auto-Union)を結成。各社はそれぞれ別のカテゴリーに特化し、競合を避けるよう努めた。

インゴルシュタットのアウディ博物館の展示車両を20台紹介する。
インゴルシュタットのアウディ博物館の展示車両を20台紹介する。

フォルクスワーゲンは1966年にダイムラー・ベンツから経営難に陥っていたアウトウニオンを買収し、後にNSUも傘下に加えた。その後、ブランド再編に着手した際、アウディがトップに立ることになった。

本特集では、ドイツ・インゴルシュタットにあるアウディ博物館(Audi Museum Mobile)の貴重な展示品を一部ピックアップして紹介する。アウディを世界的な高級車ブランドへと押し上げた会社とクルマについて理解を深めよう。

(翻訳者注釈:本特集で紹介している車両などの展示内容は、AUTOCAR UK編集部による取材時点のものです。)

アウディ18/70 PS(1925年)

1923年に発表された18/70 PSは、アウディの市販車として最初に6気筒エンジンを搭載したモデルだ。4660ccの直列6気筒エンジンは当時としては驚異的な70psを発生し、軽量化のために軽合金で作られていた。大柄で、パワフルで、ゴージャスな18/70 PSは新車当時、ドイツ国内でも特に高価な1台だった。

アウディはこのモデルを228台生産した。現在、3台(アウディ博物館のカットアウェイモデルを含む)とシャシー1台が現存している。

アウディ18/70 PS(1925年)
アウディ18/70 PS(1925年)

ヴァンダラーW 10(1925年)

1925年、ヴァンダラーはW 10を発売し、ライバルたちを驚かせた。乾式クラッチや四輪ブレーキなど最新の装備を備えた、極めて近代的なクルマだった。こうした技術革新により、W 10は日常的に運転しやすいクルマになった。ヴァンダラーは1927年、改良で最高出力40psの1940cc直列4気筒エンジンを導入した。

博物館に展示されているこの車両は、ある医師が新車で購入し、1996年にアウディのコレクションに加わるまで毎日乗り続けていたものだ。常にガレージに保管され、入念にメンテナンスされてきたこのワンオーナーのW 10/IIは、フロントのターンシグナルと運転席側ヘッドライトの後ろにあるミラーを除き、完全にオリジナルの状態を保っている。

ヴァンダラーW 10(1925年)*写真は1928年モデル
ヴァンダラーW 10(1925年)*写真は1928年モデル

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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