フォード・フォーカス・エレクトリック

公開 : 2013.09.13 13:00　　更新 : 2017.05.29 18:55

■どんなクルマ？

フォードの初めてのEVモデルがこのフォーカス5ドア・ハッチバック・エレクトリックだ。デリバリー開始は今年の終わりを予定しているが、販売は既に受け付けている。5人乗りで、最高速度は137km/h、航続距離は160kmというスペックだ。

23kWhのバッテリーは英国の標準的な240V/10Aのプラグからだと10〜11時間で、急速充電器を使えば3〜4時間でフル充電が可能だ。

しかし、その価格は£33,500(527万円)、政府の補助金を差し引くと£28,580(450万円)というもの。この価格は、ルノー・フルエンスEの£21,495(3380万円)、補助金を差し引いて£17,495(275万円)や、日産リーフの£16,000(252万円)よりもかなり高い。

■どんな感じ？

フォーカスは、われわれが大好きなハッチバックである。そして、このエレクトリックのダイナミックなアピールは、コンベンショナルなエンジン・モデルと大きく変わることはない。それは素晴らしい重さのステアリングや、乗り心地と機敏さが程よくバランスのとれたよく調整されたシャシーなどだ。

2.0TDCiよりも415kg重い1700kgのボディは、逆に乗り心地を快適にしている。サスペンション・スプリングは路面の凹凸をよく吸収してくれるのだ。ただし、短時間の試乗では、リア・アクスルの上に集中する重さが、制動力にどのぐらいの影響力があるかまでは判らなかった。

乗り心地は、ライバルのようにスムーズで洗練されたもの。従来のガソリン・エンジン・モデルでは、£100,000(1,570万円)ぐらいの価格のするリムジンでなければ味わえないようなものだ。もちろん、これはその重量が影響している。

高速走行でも、僅かなタイヤ・ノイズとサイド・ミラーの風切り音が耳に入る程度。それも控えめな音量で気にならない。その無音での高速巡航はジェット戦闘機がタクシィングしているかのようだ。

パワートレインは、丁度2.0ℓのディーゼルといった感じの力だが、100km/hを越えたあたりからの伸びはない。また、ステアリング・ホイールが加速時に落ち着かないのも若干だが気になった。それと、バッテリーがブートスペースを126ℓ少ない237ℓに下げてしまうのも残念なところだ。

■「買い」か？

問題はその価格だ。優れたパワートレインを持っているだけに、その高価さが気になる。確かに、充分に楽しいクルマではあるのだが……。

(ジュリアン・レンデル)