【ホットハッチの終焉】フォード・フォーカスST 生産終了を前にカタログ落ち

公開 : 2025.06.03 06:45

欧州フォードの高性能ハッチバック『フォーカスST』の英国での販売が終了となりました。今年11月には生産終了予定です。人気低下やSUVへのシフトなど、ホットハッチを取り巻く状況は芳しいものではありません。

さらば、フォーカスST

フォード・フォーカスSTが英国市場において販売終了となった。4月時点ではまだ注文を受け付けていたが、5月26日にディーラー向け価格リストが更新されるのと同時に、リストから削除された。なお、フォードのオンライン・コンフィギュレーター上には現在も掲載されている。生産は11月に終了予定だ。

これにより、現在英国で新車として購入可能なフォーカスは、ターボ+マイルドハイブリッド仕様の1.0L直列3気筒『エコブースト』エンジン搭載車のみとなった。最高出力は124psまたは155psの2種類で、グレード構成は『アクティブXエディション』、『STライン』、『STラインXエディション』のみとなっている。これらのモデルについても、今後数か月のうちに生産終了となる見込みである。

フォード・フォーカスST
フォード・フォーカスST

フォーカスの全生産を担っていたドイツのザールルイ工場について、フォードはすでに売却先を模索しているが、いまだ買い手は現れていない。売却が実現しなかった場合でも、フォードは同工場を2032年まで存続させ、従業員1000名(現在の4600名から大幅削減)体制での運営を計画している。

フォードUKの広報担当者は取材に対し、以下のように語っている。「現在、フォーカスSTの新規受注は終了しておりますが、すでに生産済みで未販売の車両が約170の国内ディーラー網に残っております。この中には、アズーラ・ブルーの特別仕様車『STエディション』も30台含まれています」

今後の受注再開については、明確な回答は得られていないものの、需要が急増した場合や、最終記念モデルのような特別仕様が設定される場合など、状況の変化次第ではオーダーブックが一時的に再開される可能性も残されているようだ。

フォーカスSTの廃止は、ホットハッチ市場全体が縮小傾向にある現状を如実に物語っている。近年、ホットハッチは相次いで姿を消しているが、その要因としては、利益率の高いSUVへのシフトや、CO2排出規制の強化により電動化が加速したことなどが挙げられる。

ヒョンデは2023年にi30 Nおよびi20 Nを欧州市場から撤退させており、プジョー308 GTiも1世代限りで終売となった。トヨタGRカローラも英国には導入されていない。

現存するホットハッチの多くは高価格化が進んでおり、たとえばフォルクスワーゲン・ゴルフGTIは英国価格がすでに4万ポンド(約780万円)を超えている。また、ホンダシビック・タイプRやトヨタGRヤリスのように、販売台数が厳しく制限されているケースも多い。

実際、フォーカスSTの兄弟モデルであるプーマSTもラインナップが縮小しており、最高出力200psの1.5LエンジンとMTの組み合わせは廃止に。現在は、160psを発揮する1.0Lマイルドハイブリッド+ATの仕様のみが『ST』バッジを掲げて販売されている。近年のSTシリーズで唯一生き残ったモデルである。

とはいえ、フォードのパフォーマンスカーが完全に終焉を迎えるわけではない。フォードのデザイン・ディレクターであるアムコ・レーナーツ氏は昨年AUTOCARに対し、「ブランドのパフォーマンスカーには “間違いなく” 未来がある」と語っている。F1やダカールラリー、WRCといったモータースポーツでの人気を背景に、「パフォーマンスカーを生み出さなければ、我々は間違った投資をしていることになる」とし、今後はグローバルに展開される一般的な車種においても、走りのDNAを継承していく方針であると強調した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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